読書日記「百年の孤独」
小学生の頃、何かの魚の本で、「魚のホルマリン漬け」の標本を作りたくなって、これを夏休みの自由研究の課題にしようと考えたのであった。そんなものをなぜ小学生である私がどうして作りたいと思ったのか全くこれも今となっては思い出せない。
まず標本を作るには魚が必要である。私の田舎は和歌山の田舎なので、従兄弟の家に泊めて貰って釣りに出かけた。防波堤であり、よく釣りに行くところであった。
釣りながらオキアミ(エビみたいなエサ)を巻いて、そのオキアミに寄ってくる小魚をすくおうとしていた。
そうしたところ、ものすごく動きの鈍い魚がよちよちと泳いできたので、これをすくい上げた。これは後で分かったのだがハコフグというフグで、大変かわいく変わっていた。
フグには悪いのだが、大喜びでこれを標本にすることに決め(小学生とは残酷なのだ)、どこから仕入れたのか全くこれも記憶にないが、標本作りの手順に従い(これも何か手順が本に書いてあったのだ。よくこんな本が家にあったもんである)、ハコフグを標本にした。
書きながら何となく思い出してきたが、自由研究でクラスで驚嘆されたいという気持ちがあったような気がする。すごい自由研究を出して驚かせたいというものである。
魚のホルマリン漬けは中々ないであろう。夏休みが明けたら驚嘆されるはずだ…。
そう思ってクラスにホルマリン漬けを持っていったが、今から思えば当たり前なのだが、小学生にそのようなものがウケるはずもなく、クラスのみんなからは引かれただけであり、先生もただ単に魚をホルマリン漬けにしたというだけでは一工夫が足りなかったようであまり褒めてももらえなかった。
そのホルマリン漬けは、理科の実験室か何かに置かれていたような記憶もあるが、その後このホルマリン漬けがどうなったかは、全く今となっては記憶にない。
あれから30年近くが経ったが、今はただハコフグの冥福を祈るだけである。
ごめんなさい、ハコフグ君。