調停の待ち時間

中隆志

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 数年前、遠方の裁判所まで離婚調停に行った。
 夫婦が別居した時に、妻の方が実家に戻ることがあるが、実家が遠方だと調停は相手の住所地になるので、京都の依頼者から離婚の依頼を受けると出張することとなる。

 相手に弁護士がつかず、本人の場合は、調停委員も一から話しを聞くことになるので、長くかかる。先日の調停でも、私の話は13時20分から40分までであったのに対し、相手のご本人の話は13時40分から15時20分までかかった。
 待つこと1時間40分である。
 慣れている調停委員だと、途中で抜けてきて、「今こんな状況ですのでもう少しお待ち下さい」と途中経過を聞かせてくれる場合もあるのだが、たいていは放置されている。
 本人が来ている場合でも話をするにしても限度がある。
 先日は相手の対応が分からないため私だけ行っていた。
 仕方がないので待ち時間に持って行っていた文庫本を読んでいたのだが、それも新幹線の中から読んでいたこともあり読み終えてしまった。
 しばらくはイスに持たれて仮眠していたのだが、呼ばれるかもしれないので本気では寝られない。少し仮眠して起きてもまだ呼ばれる気配がないため2冊目の本を読み出した。
 こんなこともあろうかと2冊目を鞄に入れておいたのである。
 その本を150ページくらい読んだ時に呼ばれた。
 この待ち時間の間は仕事も出来ないし、本を読むかやっている事件について思索することくらいしか出来ないのである。

 ところで、どこかの学者か何かがやっているブログかホームページだかで私の記事が「調停嫌いの弁護士のブログ」として引用されていた。私自身は引用について連絡を受けたこともないし、私を調停嫌いの弁護士として一言で決めつけて切って捨てているような表題であるところが気にくわない。他人のことを一言で引用するなどというのは大変失礼な態度ではないかと思う。

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