弁護士の世界の棲み分け

中隆志

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 一般の弁護士は特殊な事件でない限り様々な事件を受任している。  しかし、自ずと棲み分けというか、事件に一定の傾向は出来るようである。  弁護士が1人で出来る業務量には限りがある(基本的には地道な作業だからである。依頼者から事情を聞き取り、裏付ける証拠があるかそれをチェックし、書面を書いて、あるいは調べ物をしたり、現場を見にいったり、法律相談に出かけたり、裁判に出かけていたり、遠方の裁判所の事件で出張したり…。これの繰り返しである。)ため、業務量の中で取扱が多い分野とそうでない分野はある程度出てくる。   刑事事件で名が通れば刑事が自ずから多くなる。一般民事事件が多い事務所では中々そう多くの刑事事件は出来ない。私はというと年間で国選数件、私選数件程度である。 最近はたいていの事務所で多重債務事件や過払い金返還請求事件は手がけているが、これを専門にしている事務所も東京などにはあるようである。ただし、専門にしているからといって、いい仕事をしているかというと、それは私には分からない。 大病院の診察がお粗末であったのに対して、町中の小さい開業医の方が優秀であるという例もあるように、「専門」というだけで仕事が出来るかどうかは未知数である。もちろん優秀な弁護士もいるであろうが。 私も多重債務案件や過払いは多い。 私は損保の顧問はしていないが(利益相反などのため、スポットで依頼されることは偶にある)、損保の事件をしている事務所だと交通事故事件が多くなるだろう。交通事故事件は損保会社の事件を数多くしていると、それは経験値は上がると思う。ただ、被害者側ばかりやるのもそれはそれで被害者側のツボのようなものを覚えていくので、悪くはなかったりする。 女性で離婚事件やDV事件が多い人もいるだろう。 ただ、こういったものはあくまで傾向であり、取扱が少ないからといってその事件をやらないという訳ではないし、取扱が少ないからといって、優秀でないとも限らないというのが印象である。

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