読書日記「百年の孤独」
修習期間が短縮されたが為に、模擬裁判も選択型修習ということになり、修習生が自由に選択することになっている。
その選択型修習がない時には、私の事務所で普通の修習をするのである。
模擬裁判をさせてみると、能力とか性格がわかる。その模擬裁判の時、私は午後から過疎地の法律相談担当であったため、午前中少し見ただけであるからそこまではわからないが、何年か見ているとそういうものもわかるようになる。模擬裁判をさせてみると、普段優秀といわれている修習生がメロメロであったり、普段冷静な雰囲気の人がムキになったりしたりするのを見ると、それが本質であるのかなあと思う。我々の頃優秀といわれていた人はやはりとてつもなく優秀で、検察官になっても出世街道をばく進していたりするのだが、最近優秀と他の修習生から言われている修習生にあっても首をかしげることが多い。ロースクールでの成績などでそう思われているのかもしれないが、学校での成績と、実務家で必要とされる能力はまた違うところがあるので、中々このあたりは評価が難しいだろう。
見ていると、代理人役の声が極めて小さい人がいた。法廷では何も大声を出さないといけないということはないが、通常我々弁護士は依頼者と話をするときも声を張って話をするようにしているし、法廷でも同じである。小さい声は自信がないように見えるから、ある程度はきはきとした声で話をすることが必要であろう。
語尾が何を言っているか分からない修習生もいる。自分の中では聞くことが完結している為そのようになるのであろうが、尋問は調書に取ってもらい、かつ裁判官にも聞いてもらうものであるから、語尾まではっきり話すべきであろう。
また、模擬裁判ということで、演出をする為か、余計な説明をしている修習生もいるが、これも不要である。時間が限られているのが通常だから、本論の大事な部分を聞くようにした方がいい。
多いのは早口である。早いと聞いている方もメモを取れないし、理解出来ない。実際の訴訟では書記官が調書に取るので、あまり早いのはよくないだろう。
反対尋問では、周辺部分を聞いて、本体に切り込まず終わってしまうというパターンも割合ある。本体に切り込んで返り討ちに遭いたくないというところなのであろうが、紛争になっている以上、本体部分でつっこむことが出来ることは割合あるものである。後は聞き方の問題であろう。
まあ、人のことはこのように書けても実際の尋問は難しい。証人が舞い上がって打ち合わせしたことと違うことを言い出すこともあるし(事実関係を曲げることは弁護士は出来ないが、物にはいいようというものがある)、相手の方も現場で微妙に陳述書と違うことを言ったりもする。
講評している他の弁護士の話を聞いていても、「いやいや、あんた俺が相手方の事件でメチャクチャやったやん…」と心の中でつっこみたくなるような弁護士がしたり顔で講評していることもある。
弁護士にとっても尋問は永遠の課題であるともいえようか。