読書日記「百年の孤独」
最近は過疎地の法律相談に行くようになったので、区役所などの無料法律相談は担当していない(過疎地に行くと免除される)が、勤務弁護士の頃はよく行った。自分の担当のみならず、ボスの担当までほとんど全て自ら交代して行っていた。修習生から弁護士になって、相談が愉しかったのである。
無料法律相談は無料ということもあり、時間も短い。1人15~20分で事案を聞いて回答までしてあげないといけない。これは相当大変である。現場で鍛えられるというが、無料法律相談では相当鍛えられたし、分からないこともあった。その場では答えられず、事務所に戻って調べた結果を(了解を得て)郵送したことも多々ある。
一般の人の感覚だと、医者にいって3000円支払うよりも、弁護士のところにいって5000円支払う方が「なんでやねん」と思うであろう。医者の3000円は保険が7割なので、実は1万円が医者に入ることになるのであるが。その点弁護士は保険などないから、入ってきたものが全てということになる。ただ、日本人一般に、「聞くだけで費用が何でかかるのか」という意識もあるであろう。ノウハウにお金を支払うという発想じたいが希釈なのである。そのこともあり、有料相談には列が出来ないのに、無料には列が出来ることになるのである。
さらに、5000円という相談料は下手をすれば一家計の5日間分くらいの食費であったりすることもあり、相談料は相当弁護士へのアクセス障害となっていると思われる。
話が逸れたが、無料法律相談では前記のとおり列が出来る。いきおいたくさん聞かねばならず、相当ヘビーである。中には時間がないことに怒られる人もいるし(それならば時間がもう少しある有料の方に行って欲しいのだが。)、アドバイスに納得出来ない人もいるし、弁護士に捨て台詞を吐いて嫌な記にさせられることもしばしばである。我々としても行政サービスの一環として弁護士会が委託を受けてやっているので、出来るだけ気持ち良く帰ってもらいたいが、ウソを言うわけにもいかず、本当のことや見落としをいうと物凄く怒られたこともある。しかし、何も弁護士が意地悪でそのような回答をしている訳ではないのであるが…。
今は無料法律相談の担当を免除されているのでしばらくこういう目に遭っていないが、相談に行かれる方も、担当の弁護士は出来る限りの回答をしようとしているのが通常であるから、気に入らない回答が出たからといって、食ってかかったりしないで欲しいのである。