読書日記「日本が売られる」
裁判所に同じ書類を出しても特に問題がなく受け付けられて、手続が進んでいったものを、違う担当者になると同じ書類を出しているのに「ここを補充してほしい」とか「ここが書き方が違う」とかクレームをつけられることがある。
もちろん、私は私のやり方が正しいと思っているし、過去にそれで受け付けられているのだから、文句をいうこともあるが、依頼者や事件の進行速度のことを考えると、クレームに応じて処理を進める方が全体に得策なことがあるので、そういう場合には黙って応じている。決して納得している訳ではない。
クレーム(正しくは補正という)には応じるが、それなら「過去の処理は全部間違ってたんかい」と突っ込みたくなる。
私も人間なので、虫のいどころが悪い時には、過去の例をあげて文句をいうこともあったりするが、そうすると、「少しお待ちください」となって電話を保留にされたあげく、「またかけ直します」と言って少し経過すると、「その処理で結構です」となったりする。
別にそんなところでケンカをする気もないが、裁判所の方が気分次第というか担当者次第で対応が変わるのはあまりいい気はしないし、よくないことだろう。私もそれなりに事件経験はあるし、担当者よりも扱った事件数は多かったりするのだから、意見を言って来るときにはやはりそれなりの検討をした上でしてきて欲しいと思うのである。
もちろん、人間であるから、指摘を受けて、私の方が間違っていることもありそうした場合には素直に謝るが、ろくに検討もしないで思いつきで指摘してきたなと思う時はいい気はしない。
1年目の裁判官が研修などで入っている場合、とりあえず何か言わなければと思うのかも分からないが、的を外れたことを聞いてきたりすると、きちんと検討して欲しいと切実に思うのである。
まあ、経験を積んだとしても、裁判官のあたりによっては、結果が全く逆になることがあることもあるから、この程度のことは仕方のないことなのかもしれない。
たとえば消費者問題に理解があり、消費者側の主張に耳を傾ける裁判官もいれば、原則的に「契約した以上だめ」というタイプの裁判官もいる。被害者に優しい裁判官もいれば、被害者になぜか厳しい裁判官もいる。そもそも、どんな勝訴判決を書かれても不安になる裁判官もいる(理由付けがすかすかで、控訴審に耐えうるか不安)。原告側で訴えを起こして、どの裁判官に継続するかというのは、弁護士は非常に気にしているものだが、それはこうしたことが原因である。