読書日記「百年の孤独」
独立前に、「上司が鬼とならねば部下は動かず」という本を読んだ。組織内に甘えは禁物であり、上司は部下に厳しくないといけないというものであった。
外資系とか銀行やたくさん社員がいる会社などではこうしないといけないであろうなあと思いながら、独立時点で私が考えている法律事務所の規模だと利用できない本だということで本棚の奥にしまいこんだ。
私のボスは、「経営者には経営者の苦労があるんやで」と笑いながら言っていたことがあり、「怒鳴りたい時でも怒鳴れない」とも言っていた。私は事務所経営者なのだから、自由に叱ればよいのではないかと考えたこともあったが、いざ経営を始めてみるとそうでもないことがわかった。
やはり人を育てていくためには叱りつけるばかりではいけないし、ある程度のことは自由裁量の範囲の中で多めに見て、時々口を挟む程度にしなければ育たないということがある。事務員も人間であるからミスをするし、怒鳴りたい時もあったし(今もないとはいえないが)、それでやっていたら小さい事務所は成り立ちにくいであろう。
事務員が私に我慢をしているのと同様、私も事務員に我慢をしているし、それは勤務弁護士についても同様であろう。人間である以上欠点はお互いにあるからである。
あとは注意の仕方にもしようがあるということもあるであろう。同じ注意をするにもタイミングとかやりようによって受け止める側も変わってくるからである。
こうしたことはボスから学んだことでもある。
巷では事務員が怒鳴られてすぐ辞める事務所もあるようである(明日から来るな、とか)。
気分によって主張や指示を変える上司というのも部下からすればやりきれないであろうからそれも上に立つ人間はしてはならないであろう。気分によって態度を変えるという人は、部下にいたとしても周囲はやりづらいことこの上ない。気分によって態度を変える人は自分勝手この上ない人だということが出来る。組織には向かないのである。
最近、入所したての60期の弁護士がボス弁に叱られたと言ってしょげていることがあると聞いたことからこうしたことを書いて見るつもりになった。私はボスに叱られたことがなかったので、その方法を踏襲しているつもりである(そりゃ時々は怒るけど)。
最初から仕事が全て出来る訳がないので、ある程度長い目で見てあげないといけないと思うのである。