読書日記「百年の孤独」
弁護士の仕事にはある程度締め切りがある。一件だけの事件を受任していては飯が食えないので、複数の事件を同時に受任している。そして裁判などの期日に合わせて依頼者と打ち合わせをして書面を書いて証拠を整理してー。となると、必要な力の一つとして、「段取り力」が要求される。
暇な弁護士に依頼するとすぐに事件をやってくれそうに思うが、事実は逆である。暇な弁護士が暇であるのには理由がある。むしろ、ある程度忙しい弁護士の方が、「段取り力」に優れているので、事件の依頼を受けると、スケジュールの合間を瞬く間に組み替えて、急ぎの事件は速やかに行うことになる。ただし、「忙しすぎる」弁護士は事件を放置されるかもしれないので要注意である。
忙しいので事件を断る弁護士はほとんどの場合良心的であろう。売上を上げるために、多忙すぎても事件を受ける弁護士はいる。そうすると、事件処理が遅れて依頼者に迷惑がかかるのである。ただし、暇なのに事件処理が遅い弁護士もいる。
段取り力がどの程度あるのかを見ることはそう難しいことではない。宴会の幹事をさせるのである。出欠を段取りよくとり、店を確保し、宴会をとどこおりなく進行させる。ただし、宴会を進行させることばかりに気をとられて、自分が楽しめない幹事では段取り力にも限界がある。自分もある程度楽しみながら、ポイントを押さえて幹事をこなす、これが重要である。こうした幹事をうまくこなせる人は段取り力に優れていることが多いと思われる。
日々事件の依頼を受けたり相談が入るたびに予定は変わる。その変わった予定で手持ちの事件を行いつつ、新しい事件に取りかかれるかどうかを読むその瞬時の判断能力も必要となる。仕事が早い人は、例外なくこの段取り力に優れている。