弁護士の取扱分野

中隆志

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元依頼者の人や税理士さん、司法書士さんなどから事件の紹介をしていただくことがあるが、そのときに、たまに、「先生は離婚事件はされますか。」とか、「借金の関係なんかされますか」とか「刑事事件はされますか」などと聞かれることがある。
 私の取扱分野はリンクを貼っている事務所のホームページに掲載があるが、外国相手の事件や大きい商標権・知的財産権の事件を除けばほとんど全部の事件を扱うし、他の事務所でも同じようなものであろう。その都度「たいてい何でもやりますから、とりあえず相談していただくようにいっていただいたらいいですよ」と答えている。

 あとは、「こんな小さい事件でお手を煩わせまして」というのもたまにいわれる。謙遜してそう言われている場合もあるであろうが、本気でそう言っておられる時もあるようである。しかし、弁護士によっては着手金が100万円以下の事件がない事務所もあるようであるが、私の事務所は着手金が5万円、10万円の事件はざらにあり、事件の額が小さいからといってどうこうということはあまりないし、周囲の弁護士もそうではないかと思う。紛争の金額だけで判断されず、まずは弁護士に相談していただくことが重要かと思う。相談して、弁護士に依頼するメリットがなければそれはそれで仕方ないが、相談してメリットがある場合もある(交通事故などでは、後遺症が出れば損害額が跳ね上がるが、後遺症に悩まされているにもかかわらず、後遺症の認定もせずに示談しているようなケースもないではない。)。

 前にも書いたようにも思うが、専門は何かと聞かれることも多いが、ほぼ全ての事件を取り扱うので、特に専門というものはない。刑事事件しかやらない、医療過誤しかやらない、労働事件の会社側しかやらないという事務所も一部にはあるようであるが、私同様、大半の弁護士は何でもやるであろう。
 ただし、得手不得手というのはあるかもしれないし、これまでに取り扱った事件数が多ければその分野には普通は精通している可能性がある。私はそういう時は倒産関係、多重債務関係、消費者被害関係、交通事故の被害者側が多いと答えているが、最近は離婚事件や相続、借地借家の事件の取扱も増えてきたように思うので、やはり通常の弁護士は「何でも屋」なのであろう。だからといって私がその分野の専門家であるといえるかというと、とても恥ずかしくてそのようなことはいえない。

 弁護士を選ぶ時は、私を含めて専門家だとか取扱が多いと言っているから信用できるかどうかはまた別物であるようにも思うので、やはり説明が納得できるか、依頼者への報告がきちんとなされるか(相手から出た書面の写しも送らなかったり、期日報告もしない弁護士がまだまだ多いようである)、費用の説明があるか、契約書は交わしているか、などがポイントとなるのではなかろうか。
 あたかもその分野の専門家と標榜しているかのような弁護士が、事件で相手となった場合にたいしたことがなかったということは何回かあるからである。

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