読書日記「百年の孤独」
よく訴えを起こされた依頼者から、「こんないわれのない裁判出されるなんて許せない。先生、逆に相手を訴訟を出したことが法律違反だとして、訴えられないんですか。」と言われることがある。
確かに、あまり吟味されていない訴状をみることもあるし、本人の話を前提にすると「普通はこれで訴訟を出すかな」というような事件がないわけではないが、これはあくまでこちらの話であって、相手がまだ出していない有利な証拠を持っていることもあるし、見方によっては相手の主張が成り立つかもわからない裁判もある。また、裁判が進むことによって相手の主張が洗練されてくることもある。
訴えの提起自体が違法とならないと、訴訟を出されたことによる慰謝料などを反対に相手に請求することは出来ない。そして、この訴えの提起が違法となる場合は極めて限定的に考えられている。それは、裁判をする権利が保障されているからである。
難しい裁判を法を変えるためにあえて起こさないといけないこともあるし、専門的訴訟などはそもそも見通しが立たないことも多い。そのような中、敗訴した当事者に対して、結果だけから、「裁判を出したことが違法だ」と後にいわれると、皆裁判を出すことを控えるようになることから、よほどのことでないと訴訟をすることが違法にはならないのである。
このことから、違法となる場合とは、証拠を偽造して貸してもいないのに貸金の請求をするような場合とか、完全に同じ内容で一度負けているのに同じ内容で訴訟をするとかというような限定的な場合に限られているのである。
訴訟は避けられないこともあるが、あらかじめ弁護士に相談することによって、後日の紛争を避けられることもあり。それが理想であろう。予防法学というのであるが、なかなか日本では浸透しない。