読書日記「百年の孤独」
反転~闇社会の守護神と呼ばれて~(田中森一 著、幻冬社)という本を読んだ。元特捜検事で、検事退職後大阪で弁護士をしていた人が著者である。一般の人が読めば面白いだろう。私としても面白い本だとは思って読んでいた(ただし、話が全て真実かというと、さてどうでしょうという感じではあるが)。
この本によれば弁護士になったのがちょうどバブルの頃で、いろいろな(アウトロー関連の)企業が顧問先になってくれと来て、事務所披露の祝儀が6000万円、顧問料は月額1000万円になり、ヘリコプターを7億円で購入したというのである。
その後、石橋産業事件という詐欺事件の被告人となり、無罪を主張していたが、控訴審で有罪・実刑判決を受けて上告中とのことである。
この本を読んでいると、この田中氏は弁護士としての活動で、「一線は越えていない」と述べているが、普通の弁護士である私からすると著述を真実のものとしても越えまくりではないかと思う。
弁護士倫理違反のオンパレードではないのかと思って読んでいた。
その中で被告人のためになるならということで嘘をついてもいいのだとしているが、詐欺事件で有罪かどうかはさておき、弁護士としては失格であったと思う(が、田中氏がそれに気づいているかはよくわからない)。
私などは普通の事件をせっせとしているので、高額の報酬を次々に貰うということは経験もないし今後もないであろうし、「危うき人」にはそもそも近寄らない。この田中氏は、危うき人に近づき、その毒気に当てられ、彼らと一体化していたつもりが利用されていたというところなのであろうか。
まあ、顧問料を月にそれだけ貰っていたら、傲慢になって金の感覚なくなるかもしれないなぁ…。貰うことはないけど。
人間うまくいっている時が危ないのかもしれない。織田信長しかり、豊臣秀吉しかりである。人生において手本にすべきは、おもしろみはないかもしれないが徳川家康であろう。彼ほど頂点を極め、なお自分を律せた人も珍しいといえる。破滅型な生き方は周りから見ていると面白いかもしれないが、本人にとっては不幸なのではなかろうか。