尋問

中隆志

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証人尋問は弁護士の華であるが、主尋問はともかくとして、反対尋問というのは中々難しい。テレビでやるように、「嘘をついていました」なんて白状するような場面は実際の訴訟ではまずお目にかかれない。せいぜいが、信用性を失わせるくらいである。

 実際の訴訟で「真実を話してください。あなたの良心にかけて」なんてやってみても、「話してます」と言われるのが落ちである。

 反対尋問のコツとしていわれていることは、

1、客観的資料との齟齬をつくということ

2、常識的に見ておかしいことをつくこと
  たとえば、通常であればなすべき行動をしていなければそこを指摘すること、である。

 一般的知識や常識から罠を狭めていって証人や本人のいっていることが「おかしい」と裁判官に思わせれば十分である。おかしいところをおかしいでしょといっても尋問にならないので、そこは工夫が必要であろう。言わせたいところにまっすぐ斬り込んだら返り討ちにあうので、徐々に網を狭めていくのである。

 また、時系列で聞くと相手方は頭を整理するので、あちこちに飛ぶ方がよいとも言われる。ただし、これは聞く方が相当頭が整理されていないと出来ないのである。

 かくいう私も尋問でそれほどうまくいったかというと、「…」なのであるが。

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