読書日記「百年の孤独」
詐欺には何パターンかその手法がある。随分前に古今東西の詐欺の類型を集めたという本を買ってきたが、未だに読めていないが、実際に事件をしている中でそのように感じる。
その一つの類型として、「騙されている当の本人だけがその手法により利益を得られる」が、「知らない人は利益を得られない」として、「利益を得るために正当な投資や代金を支払う必要がある」が、「その支払うお金よりもを知ることにより得られる利益の方が莫大となる」と信じさせるというものがあるだろう。
配当率が高いとして預かり金を集めて最後にドロンしてしまう手法もこれだし、パチンコやパチスロの攻略法もこれにあたる。冷静な判断をすれば、そのような方法を知っているのだったら、自分たちだけがその方法により利益を稼げばいいのであって、他人に教える必要はないはずであろうということになるのだが、利得に目がくらむとそのあたり冷静な判断が出来なくなるようである。
パチスロやパチンコの攻略法は、雑誌に載っているようで、実際にその攻略法に何万円、時には何十万円を出してその情報を買ったとしても、全く役に立たず、返金を求めようとして交渉しているうちに相手の業者がドロンしてしまうというパターンを経る。
競馬の攻略法でも同じである。
基本的には詐欺なので、こうした情報提供契約を詐欺で取り消すか、消費者契約法の不実告知ということで契約を取り消せると考えるが、契約を取り消したとしても、相手からお金を回収するのは中々難しい。任意で支払わないだろうし、訴訟を出した頃には実体がなくなっているであろうからである。
少し前に、パチスロ攻略法で騙された人の依頼を受けて交渉したが相手が無視していたので、頭に来たので相手の支払先の口座を仮差押してやった。被害金額は7万円であったが、慰謝料と弁護士費用を上乗せして50万円近い数字で仮差押したところ、裁判所が満額の仮差押を認めてくれ、仮差押後交渉をして実際の被害金額よりも数十万円大きい金額を支払わせて和解をしたこともあった。ある意味、詐欺師の上前をはねたのである。
こうした事件は、多くの弁護士は費用との兼ね合いで引き受けないし、私も体が一つであるから多くは引き受けられない(ちなみに、7万円の回収で最初にもらった費用は1万円であった)。被疑者国選対応も大事であるが、こうした小さいが被害救済が重要な民事事件を地道にやるということも大事であって、他の人がやらないこうした消費者被害事件もやり、被疑者国選もやれということになると、正直体が保たないだろうと思う。こうした事件は皆でシェアしていかないといけないのである。
蛇足ではあるが、このようなことを書くと、「まだまだ弁護士の数が足りないからである」と指摘されそうであるが、弁護士は自由業で、生活が保障されている訳ではないから、職業として成り立つためには最低限の収入がやはり必要であって、単に増やせ増やせだけでは、よけいにこうした小さい事件や被疑者国選は受け手がいなくなるであろうし、依頼者から費用をぼったくる消費者被害を生む弁護士も今以上に出てくるであろう。個々人の弁護士の個人的頑張りや倫理観にそれを委ねるのは限界がある。
医師は増えているのに、小児科の医師や産婦人科が足りない(医療過誤で責められたり、勤務体制が辛い分野)現象と比較すれば(今までは国が支援することなく、個々人の医師の倫理観に委ねていたのである)、このことがよくわかるだろう。
解決策としては、被疑者国選や国選の費用を相当増額するという予算的措置を設けることと、人員が足りなすぎる検察官・裁判官の大増員であるが、政府は予算をこうしたところにつけないのである。