読書日記「百年の孤独」
暴力団やエセ同和、ヤミ金融などその他のややこしい相手が事件の相手方の場合、ある程度ベテランの弁護士でも腰が引けて引き受けなかったりする。ヤミ金から怒鳴られたりするのがいやで、多忙などを理由に引き受けることを断ったり、依頼者の意向を無視して相手方には一切連絡せず刑事告訴することばかりに夢中になっている弁護士もいる。
こうした弁護士は、事件に対して腰が引けているのである。
私ながらに、こうした相手方を相手にするとき何が大事かを考えてみると、
①腰が引けることはあってはならない。相手をしてやるぞという姿勢。逃げない気構え。腹をくくるということである。私は過去にややこしい相手方からの電話を毎日30分~1時間聞いていたこともある。
②原理原則に基づいた主張を動かさない、不当な要求に屈しない。一部でも屈したら、こうした相手方は更なる譲歩や不当な要求をしてくるからである。
ということになるであろうか。
もちろんこうした対応をするにはこちらも元気でないと出来ない。弁護士にとって健康が大事な証拠である。
自由と正義という日弁連が出している本があるが、その中でややこしい相手方に対する対処法というものを書かれていたベテランの先生が2人いて、若い頃に感銘を受けたので私の机の上にはこの2冊だけは捨てずに置いてある。
一つはややこしい相手から電話がかかってきたら逆に説法をしたり、歌を歌ってやるというものであった。これは本気で相手をしないという気軽さが必要であるという教訓であろうか。
もう一つは自分がこうした相手方に屈することは日本の弁護士が屈することであるとして、自分が日本の弁護士の代表であるという気概をもって事に当たれという記事であったと思う。どちらも①と②に通ずるものがあるだろう。
若い弁護士が、ヤミ金などの事件を多忙を理由にして断ったり、ややこしい相手から苦しめられている依頼者の事件を処理の困難性だけを理由に依頼を引き受けなかったケースがたまに見受けられて、そうしたケースはそろそろ中堅にさしかかってきた私に弁護士会経由でお鉢が回ってきたりするのである。ただ、こうした事件は手間がかかったりするので、私もそうそうたくさんは受けられない。
若手を含めて、こうした事件が来たら逃げる弁護士は、もっと気概をもって事件解決にあたって欲しいものである。弁護士が引き受けてあげないと、誰も味方になってくれない事件が大半であり、諸悪がはびこる原因となるからである。