離婚と親権

中隆志

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離婚しようとする夫婦に未成年の子がいる場合、どちらを親権者とするかということも決定しないといけないのであるが、双方が子どもの親権を譲らない場合には深刻な争いとなることが多い。

 子どもからすれば、大半の場合、双方の親が揃っているに越したことはないのであるため、双方の親に気を遣う。親はこれをもって、「私の方になついている」というのであるが、子どもは親が考えるよりも空気を読むのである。

 別居している場合には、子どもと長い間暮らして特段問題がなければそちらの方に親権者を認めることになりやすいように思われる。事実状態の継続が、一つの根拠となるのである。そのため、そうしたことを知っている妻が子どもを連れて家を出たり、夫の方が妻を家から追い出して子どもと暮らしているという事実状態を作りだそうとすることがある。

 離婚事件を見ていると、子どもが成育するのに何がもっともよいかという観点から考えられる親は少ないように見える。離婚後も、子どもと親の血縁関係は切れないので、離婚をするにしても、円満に別れられればそれに越したことはないであろう。年金分割で離婚事件が増えるように予測されているが、熟年離婚では親権者でもめることは少ないであろうか。

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