他人をバカにする若者たち

中隆志

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通勤途中や寝る前に本を読むのが私の趣味の1つであるのだが、「他人をバカにする若者たち」という本を読んだことがある。これはおもしろい本であるので一読の価値ありである。近々立花隆のマネをして、「最近の読書」をまとめてみようかなとも思っているが、これは特別に項目を立てて書いてみたい。

 読みながら、若者たちを相手に事件をしていることも多い私にとって参考となることが多かった。能力も実績もないのに、「自分は出来る」と思いこみ、他人をバカにすることで自分を優位に立たそうと無意識のうちにしている若者が増えているというのであるが、最近の若者を見ると、確かに、「偉そうに言っているけど、そもそも自分はどうなんや」という若者が多いように思われる。こうした若者は、明らかに自分が悪いにもかかわらず自己を正当化して、謝罪しないし、むしろ自分を悪者扱いする世間がおかしい、バカだという発想をすることにより、自分を守ろうとするというのである。

 どうしてそういう若者が増えていったのかというのはこの本を読んでいただくとして(もちろん筆者の仮説ですが)、この本の中で書かれていない点と補足的に私なりの考えを述べておくと、

1、やれば本当は出来るとか、すごい才能とかがある主人公が目覚めていくようなストーリーの小説やマンガが氾濫しているので、自分は今はやらないけど、やればいつでも出来ると思いこむ。

2、学校の中で順位をつけられることが少なくなってきたため、自分が実は何も出来ないことに気づかないまま大人になる。

 というようなことがあげられようか。法の下の平等とは機会の平等であって結果の平等ではないから、成績をつけること自体は憲法の理念に反していないし、むしろ必要なことだとも思うのであるが、それを避けはじめた頃から世の中がおかしくなったようにも思われる。

 また、自分はすごい能力があると思いこむことは自由であるが、いかに出来ないかを現実で学校の中などでたたき込まれるうちにそうした幻想は消えていっていたのではなかろうかとも思うのである。

 もちろん、中には才能のある若者もいるであろうが、才能というのは単に座していても磨かれないのであって、影のたゆまない努力が必要であるのに、こうした若者は努力せずして結果を得ようとするようである。

 それでは、若いうちはどうであったのかと言われると、この本の中の若者のようであったような気するが、違ったような気もいる。少なくとも司法試験に受かるために、短期間ではあったがそれこそ歯を食いしばって勉強したと思っている。単に私が年がいったせいなのか、あるいは違うのかはよくわからない。
 訴え提起から3年が経過しても請求の趣旨が特定されていないこともある敬愛すべきY田Kオル先生のような終わり方で今日のブログは終わりである。

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