読書日記「百年の孤独」
弁護士をある程度やっていると、その事件が持つ「表の面」と「裏の面」があると感じるようになる。表の面は、依頼者や相手方が話をしたり主張で出てくる事象であり、裏面は弁護士や裁判所には出てこない事象である。
この裏面をある程度読み通すことが出来るかどうかも弁護士の能力としては重要なことである。事実関係を聞き取る時にもそうした感覚が養われていると、役立つことが多い。分析能力といってもいい。
たとえば、長期にわたり放置されていた法的問題を決着しようとしている場合には、そうしよう、そうしたいと考えるだけの動機があるだろうし、相手方の対応が豹変した場合にも、何らかの裏事情があることが多い。
紛争が発生している場合、人間の欲がからんでくることが多いので、そうした側面から分析してみると事件が見えてくることもある。それは金銭欲だったり、性欲だったり、名誉欲であったり、本人の意地であったりといろいろである。
ただし、あまり裏の事情ばかりを推測していても事実の把握がおざなりになったりするので、そのあたりは程度問題ということも出来る。
もちろん神ならぬ身であるので、「読み違い」も時にはあるが、裏の事情にこだわりすぎていなければ、全く問題にはならない。
多角的にいろいろ考えていると、対応にも困らないことが多い。これは想像力ともいえるだろう。ただし、常識的想像力である。