読書日記「百年の孤独」
高配当をうたう消費者被害というものは後を絶たない。手口は皆同様で、さも高配当が得られそうなうたい文句で老人や一般の主婦等々から資金を集めて、一部約束どおりの配当をする場合もあるが、最後には配当が出来なくなり、元本すら返って来なかったというパターンで終了する。
まず、こうした事件の場合、①そもそも配当をすべき商売の話自体が虚偽である場合と②配当を得ようとしていろいろやったが、その商売がうまくいかずに配当も元本も出来なくなった場合とがあるが、①でも②でもこうした投資話を持ちかけている首謀者とその周辺人物が個人的に集めた資金で豪遊したり、私的な用途に集めたお金を使ってしまうことが多い。
こうした投資話を持ちかけた者の末路は、逮捕されて詐欺で実刑となるというものであり、お金を預けた被害者は、元本の本当の一部でも戻ってきたらよい方で、全額泣き寝入りということも多いと思われる。こうした投資話で資金を集めようとしている人がいるなら、一時は豪遊して高価なブランド物の時計などを着けられるかも知れないが、最後は塀の中で相当期間暮らさないといけないことを覚悟しておく方がよいだろう。
また、いくら弁護士でもない者からは取れないので、こうした場合に弁護団を結成して何らかの対応を取ろうとしても、会社が破産していたりすると、その破産に対する債権届出だけを代行するという程度のことしか出来ないことになる。このような場合に、被害者の方から、「弁護士を依頼しても泣き寝入りか」と罵られることもあるようだが、基本的に法は万能ではないので、相手方に資産が残っていれば何とか取れる措置もあるが、何もない人からはどうしようもないことの方が多い。
こうした消費者被害は、ほとぼりがさめるとまた世間をにぎわすことになるが、被害者の方も、そんなうまい投資話があったら皆やるであろうから、「そんな話はある訳がないのである」。そうした話があった時には頭を冷やしてよくよく考えてもらって投資しないようにされるしか、こうした被害が世の中からなくなることはないのかもわからない。ただ、人には欲というものがあり、金銭欲はなくなるものではないだろうから、中々難しいのかも知れない。
なお、社会保険庁でも不必要かつ不採算な年金施設を建設したことが問題となったが、年金でも社会保険庁が集めたお金は自分のお金ではなく、国民に将来年金として支払うべきお金であるのに、あたかも自分たちのお金のように不必要な施設に湯水のように使ってしまったり、国が建てる不必要であると常識的に見れば思える施設や、国会議員の不必要と判断される特権というものを見ても、手元にお金が来ると、「国民からの預かり金」であっても自分のお金のように錯覚する人が多いというるのかもしれない。
我々弁護士が、そのような倫理観で仕事をすれば大変であり、顧客の預かり金は預かり金として別口座で管理している。
手をつければ業務上横領罪である。その意味からすれば、国の大半の機関は国民から預かった税金を自己の利益になるような用途に使ってしまっているので、背任罪とはいえるかも知れない。