保釈のノウハウ

中隆志

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刑事裁判では、起訴されたあと、保釈保証金(150万円から高い人だと数億円)を担保として積めば、保釈といって一定の制限の元に身柄拘束を解放されることとなっていて、原則は保釈が認められる規定のされ方であるが、実際の運用では中々保釈が認められないことになっていて困りものである。

誰しも身柄拘束は嫌なものであり、起訴された事実関係について認めていないと、保釈に検察官が同意しないことが多いため、保釈を取るために事実と異なる部分があっても事実を認める被疑者も多数いたことは疑いない。
 最近では、起訴された後、裁判が本格的に始まる前に争点と証拠を絞り込むことで、起訴された事実関係について否認していても保釈が認められるケースが出てきており(ホリエモンの事件などはこれ)、多少運用が変わったかの印象である。

 ただ、世間の耳目を集めないような事件だと保釈が認められないことも多々ある。しかし、世間の耳目を集めておらずとも、被告人本人にとっては自由の身になることは何よりも代え難いものなのである。自由になりたいからいわれのない事実を認めて自白を取ってきたという認識から(もちろん全部の事件ではないが)、日本の刑事裁判は、「人質司法」と言われてきたのである。

 保釈については、いろいろとノウハウがあり、刑事を多数やっている人と話をしていても、割合「エッ。そんなこともしていないの?」ということもある。私の企業秘密なので、ここでは書けないのが残念であるが。

 ある時、被告人の母親から私選弁護と保釈申請を依頼されて、翌日の午前中に拘置所に被告人に面会に行き、昼一番で保釈申請を出して、その日の夕方には保釈許可決定を取ったことがあった。もちろんいろいろとノウハウを使ってのことであるが。
 そうしたところ、これが拘置所内で広まったのか、他の被告人からも、「保釈を依頼したい」としてその家族から電話が入るようになったことがあった。ただし、これらは保釈保証金を準備できそうにないので、引き受けることはなかったが、拘置所内での情報流通の早さに驚いたものである。
 拘置所内では、弁護士の噂がすぐに広まるようである。

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