読書日記「百年の孤独」
テレビなどで証人尋問を見たり、あるいは修習生の尋問を見ていると、中々におもしろい。実務ではありえない尋問が出てきたりするからである。以前司法書士が簡裁代理権の認定を受けるための必修講座の講師をした時に、模擬裁判があったのだが、ここでも意見のおしつけや評価に渡る部分を聞く尋問が多数見受けられた。
自分の依頼している弁護士が、相手に意見を押し付けている姿は依頼者からすれば「嬉しい」となるようであるが、裁判官にはあまりよいものとは受け止められない。
簡単に、尋問の際の注意事項を書いてみたものがあるので貼り付けておく。
1、尋問は事実を聞くもの
これこれこうだからこうは思いませんかという尋問は、自分の意見の押し付けであり、尋問ではない。
事実を聞くことで、相手の主張のおかしさを浮き彫りにしたり、こちらの主張の裏付けを取っていくものである。
従って、評価に渡る部分を聞いても無意味である
2、立証命題
立証命題を口にして尋問することもまた無意味である。自分はこういうことを立証したいからあなたにこういうことを聞いているんだということを言っても意味がない。
立証したいことがらを浮き出すために事実を聞くので、これこれこういう事実からしたらこういうように考えるのが自然ではないですかなんていうのも無意味である。
自分がこういうことを聞いているのはこれこれこういう事実からすればこうなると思うんですと聞く人もいるが絶対だめである。
3、相手の言っていることが「本当ですか」という質問も意味がない。
違うと回答されるに決まっているからである。一番してはいけない質問である。
4、質問は具体的に。抽象的に聞くのはいけない。
あまり長い質問も結局何が聞きたいのかわからなくなるので避けた方がよい。
修習生の人は、これを読んでおけば、模擬裁判で少しは違う尋問が出来るはずである。
ただ、実務では敢えてこうしたセオリーを越えて尋問することもある。
あと、よく、適性証人に対して大声を上げたり、威嚇したりする弁護士もいるが、あれは裁判所からすると、全く意味がないばかりか、悪印象だということである。淡々と聞けばよいのである。ことさらに芝居ぶる必要もない。