戦うべき事件と交渉で解決すべき事件

中隆志

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事件にもいろいろ種別があり、戦って戦って戦っていかないといけない事件と、戦いではなく、交渉で終わらせないとだめな事件もある。トレーニングを受けた弁護士は依頼を受けた時に交渉をするのか、調停なのか、訴訟なのか、仮処分なのかといろいろと方法を考える。このときに、その手続きを取ったときの次の展開や影響、解決の可能性、依頼者の意向などを踏まえて方法を選択する。
もちろん、依頼者にとって何がもっともよいのかというのが選択の基準である。
その意味で、弁護士から見て、戦っていかないと打開出来ない事件は訴訟をして判決を取りにいくしか方法がない。一方、訴訟を出すことが様々な余波を生むことになり、交渉で解決しなければいけない事件というのもある。これは経験でもあり、先を見通す力というものが必要となってくる。
しかし、いくらこちらが先を見通していても、相手の弁護士が先を見通せていなければ、交渉によって解決を図ることは不可能である。また、交渉で解決をするよりは、訴訟等になった方が相手の弁護士には着手金が入るので、依頼者の立場を本当に考えているのか、自分の利得のためにやたら訴訟をしてきているのではないかと首をひねりたくなる弁護士もいないではない。
 交渉によって解決しなければならない事件が解決出来るときは、相手の弁護士も先を見通せる弁護士で、自分の利得よりも依頼者のことを一番に考え(当たり前なのであるが、そうでもない人がいるからげんなりするのである)、かつ双方の依頼者が弁護士のアドバイスを聞き入れる場合のみである。
 一見弁護士同士の談合のように見えるかもしれないが、双方の依頼者の利益を確保しようとしてすりあわせていく中で、もっとも双方の依頼者にとってもよい解決が探られるのであるから、談合とも違い、それぞれの弁護士はそれぞれの依頼者を向いて依頼者のために解決しようとしているのである。
 そのために、依頼者自身は説得されて少し不満に思うこともあるだろうが、トレーニングされた弁護士は依頼者のことを一番に考えているものなのである。ただし、それが依頼者に伝わらないことも稀にあるが、それでめげてはいけないのである。

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