読書日記「百年の孤独」
勤務弁護士時代に、青森地裁五所川原支部というところに出張があった。
元々私の兄弁が行く予定だったのだが、刑事事件で手が回らないというので引き受けたのである。
兄弁が既に「行き方を調べている」というので聞くと、秋田空港から秋田駅に向かい、そこから五能線という単線電車に乗っていくのだということである。
秋田空港から2時間以上をかけて、五所川原支部に着いて、「ひえ~。遠いわ。」と思いながら期日を終えて帰京。2回ほど行った時に、秋田駅までバスが混みまくっていたので、朝五時起きで重い記録を抱えていて疲れていたので混みまくりのバスにのるのもつらいので、タクシーに乗って、運転手さんと世間話をしていて、「とごいがれるのか」と聞くので、「五所川原まで」というと、「五所川原だっだら、空港からタクシーで30分ですがな」といわれた。「兄弁のいうことを真に受けなきゃよかった…。そしたら楽に行けたのか…」とがっくり。確かに地図で見ると、空港から近い。五能線は電車マニアには垂涎の単線ということであるが、私は電車の趣味はないので、以後はタクシーで30分という近さなので、空港のビジネスラウンジでパソコンを叩いたり、文庫本を読むことが出来た。
さて、何回かいくうちに、相手に弁護士がついて、いざ尋問ということになった。尋問予定では、被告本人の女性(もう1人被告がいて、これは夫)と、当時のやりとりを聞いていたという女性の姉を聞くことになっていた。
しかし、期日が始まっても、法廷内には女性1人。
裁判官が、相手の弁護士に、「先生、被告本人が見えていないようですが…」と聞くと、相手の弁護士は、法定内の女性を指さして、「そこにいます」という。裁判官はむっとして、「それは証人の被告のお姉さんですが」というと相手の弁護士はびっくり。
おいおい…。自分の依頼者と会ってないんかい…。それでどうやって依頼を受けたんや…。とげんなり。夫の方と知り合いのようで、奥さんとは面会せずに代理人を引き受けたようで、この分では証人尋問の打ち合わせもしていないだろう。
私は5時起きで五所川原まで来ているのである。裁判官に「次回来なかったら終結して下さい」と調書に取ってもらい、尋問が始まったが、お姉さんとも打ち合わせをしていないことがありありとしていて、挙げ句の果てに自分のところの証人に「そうでしゃないだろ!こうだろ!」と怒り出す始末。あまりの誘導尋問のひどさに私も何回か異議を出し、裁判官も怒り出す始末。ひどい弁護士もいたもんである。
その次の期日で、被告本人の妻の尋問もあったが、この時もひどい尋問で、裁判官から叱られまくっていた。最終的にこの訴訟は全面勝訴となったが、後日「自分が依頼した弁護士の弁護士費用をこちらに支払え」という調停が出たりして、本当に訳のわからない話だった(もちろんそんな調停行くだけ無駄なので、こちらが全面勝訴している事情を裁判所に提出して行かなかったが)。
出張であちこち行くと、本当にひどい弁護士に何人かあたったが、これはそのうちでも一位であると思っている。そりゃ、こんな弁護士ばかりだったら、弁護士は淘汰されろと言われるわな…。