裁判をしている人の怒り

中隆志

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民事の裁判とは基本的にお互いの言い分をまず出し合って、この言い分を裏付ける信用出来る証拠を数多く揃えた方が勝つというルールとなっている。
そこで、言い分を出し合う中で、依頼されている方の中には、①相手はウソをついているがこんなことは許されるのか、とか②自分の主張を認めないので許せないということでお怒りになられる人もいる。

  しかし、①については、主張自体はよほどのことがないと主張しただけでは特別罪にはならないし、これを裏付ける証拠があってはじめて裁判官はその主張に理由があるという判断をされるので、あとは相手の言い分が証拠で証明出来るかということになる。
 中には名誉毀損的主張をする弁護士もいるが、これは表現をする弁護士の倫理の問題に過ぎない。

 ②については、相手はあなたとは違う人格なので、同じ事実を前提にしても、異なった認識を有していることはあり得ることであるし、自分に都合のよいように話を展開している場合もあるが、だからこそ紛争になっているのであり、相手の言い分が自分と違うからと言っていちいち腹を立てていたら裁判が終わるまで身が持たないので、「裁判とはそういうものだ」というくらいの気持ちで応対しようと説明している。

 裁判の当事者となるということは疲れるようであり、双方が疲れて「このあたりで」ということで解決することもある。すなわち、時間が解決してくれる場合がある。
 紛争を抱えながら生活をするというのは、非常なバイタリティーが要求されることなのであるが、紛争を扱う弁護士も、身体が元気でないと対応出来ない。怒りもほどほどにしないと、裁判の結果が出る前に身がもたないのである。

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