和解後の弁護士の責任

中隆志

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裁判所や訴訟外で和解したけれど、約束通り支払ってもらえなかったり、約束を守られないことがある。このような時に、通常は相手の弁護士に連絡をする。
連絡をしても、対応は様々である。たいていは事実確認をして、自分の依頼者の状況把握につとめて「申し訳ない」と言ってくれる。
 ただ、人ごとのように、 「本人に聞いてみます」とか「おかしいな。本人に聞いて連絡します」もある。考えようによってはこれらはまだいい方で、「事件は終わったので本人に聞いて下さい」なんてのもある。
 本人に聞いた結果を連絡して来ない人もいる。問い合わせると逆ギレする人もいる。自分が見通しを誤ったことを恥じて逆切れするのである。
おいおい、支払ってもらえていないのはこっちだよと言いたくなる。
また、「私ではどうしようもないので、あとは本人に言って下さい」なんていうのもある。本当に支払わせる努力をした結果であればこちらも仕方ないかなと思うが、経緯からみてもどうもそうではないものも多い。
 一括での支払はよほど信頼出来る依頼者でない限り弁護士が預かるべきである。
頭金を支払っての和解も同様である。また、自分の依頼者が不履行をしたら、出来る限り状況把握につとめて支払わせるよう努力すべきであるし、相手の弁護士に連絡すべきである。こうした基本中の基本が出来ていない弁護士は割合多い。
昔地方の事件をよくやっていた頃は、東京や大阪の弁護士に不履行をされたこともおおかた。二回、三回とあたることがないからであろうか、支払がなくとも連絡してもなしのつぶてで恥知らずである。もちろん、東京や大阪の弁護士にもすばらしい人もいる。ここまで努力してくれたら仕方ないと思える人もいた。
弁護士が増えて顔が見えなくなったら「旅の恥はかきすて」とばかりに不履行をしても知らない顔をする弁護士が増えるかもわからない。

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