読書日記「百年の孤独」
弁護士はそれぞれ、手がけてきた事件や先輩弁護士からの教えなどで、いろいろなノウハウを持っています。
このノウハウは、教科書や巷の弁護士本には書いてありません。事件ごとに異なるのと、なかなか書きづらいところがあるので、代々受け継がれるようなものになってしまいます。
そうした意味で、いきなり独立開業はものすごく危険。自分では出来ているつもりでも、経験のある弁護士からすれば、「うーん」と頭をかしげてしまう弁護活動をしている人もたまに見かけます。
いきなり独立した訳ではなく、複数弁護士がいる事務所でも、正直何人かは、「よくあんなのに依頼するなあ…」という弁護士もいます。
私も、いろいろと他の弁護士から質問を受けることがよくあり、聞かれた事件についてノウハウを教えてあげることがあります。もちろん逆もあります。
ある分野についてそれなりにやっていると思われる人が、私からすれば当然すべきことをしておらず、結果として依頼者に不利益を与えていることもままあります。
ただ、こうした評価は、依頼者にはなかなか分からないのではないかと思います。依頼者自身にそれなりに知識がある場合には弁護士を選択することも可能かもしれませんが、そうでない場合にはなかなか難しいのではなかろうかと思っています。
ただ、こうしたノウハウは、知り合いの弁護士から聞かれると、みな親切に惜しげもなく教えているのが現状です。もちろん無料。
しかし、これから弁護士が増えるとノウハウを教えるのに、費用を寄こせなんて弁護士も現れるかもしれないなどと考えています。
私自身、これまでかなり時間をかけて作成した電子データを他の弁護士に提供してきました。たとえば利息制限法のエクセル計算ソフト。昔こうしたソフトが出回っていなかったころ、必死に作成して事務作業の軽減を図るために作成したのですが、あまりに便利なのと、利息計算で消費者金融と戦って欲しかったので弁護士会で無償提供してきました。今でもこのソフトで計算している先生もおられると思います。
他にもいろいろと電子データを提供しています。
今後はこうした電子データの提供にも費用を支払って欲しいという弁護士も出てくるかもしれない…などと葉巻を吸いながら今日は考えていました。