定期点検 10年点検

写真は簡易鉄筋探査機で鉄筋が入っているか
いないかを調査している所
以下コラム
住宅の「要」である基礎の判断:プロの視点と知っておくべきこと
住宅、店舗、事務所など、建物の用途や構造(木造、鉄骨造、RC造など)に関わらず、基礎が建物の中でもっとも重要な部分であることは誰もが理解しているでしょう。しかし、ホームインスペクションにおいて、この基礎の状況を正確に判断することは非常に難しく、インスペクターは慎重な判断と説明が求められます。依頼者の方の購入判断を大きく左右する可能性があるからです。
ここでは、特に木造住宅の基礎に焦点を当てて解説します。
「無筋基礎=欠陥住宅」は誤解です
基礎を確認する上で、最初に注目する大きなポイントは「鉄筋が入っているか、入っていないか」です。この点について、建築現場や建築の歴史をご存じない方の中には、「鉄筋が入っていない(無筋基礎)=欠陥住宅(手抜き、粗悪、安物)」という誤解をされている方がいらっしゃいます。
確かに、現在新築される住宅で無筋基礎はほとんど見られません。しかし、基礎に鉄筋を入れることが義務付けられたのは、昭和56年6月の建築基準法改正からです。それ以前は、鉄筋を入れるかどうかの判断は任意でした。当時は良質な建物とされていた、いわゆる「金融公庫仕様」の建物にも無筋基礎は存在したと考えられます。
したがって、中古住宅で無筋基礎であっても、何ら不思議なことではありませんし、違反や手抜きではないのです。実際に、築40年近く経ってもクラック一つない無筋基礎を見ることもあります。
過去には、欠陥住宅の相談を受けた弁護士の方が、私に基礎に鉄筋が入っていなかったことを「欠陥住宅ですよね!」と断言されたこともありました。このように、ホームインスペクションを行う際には、いつの時代にどのような建築様式が一般的だったのかを正確に知っておく必要があります。
次回は、基礎のクラックについて詳しく解説します。
公認ホームインスペクター
松田貞次
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