「塾ジイの日記」27 ―Make failure a lesson-
出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験に挑戦することにしました。これまで受験生に向けて発信してきたアドバイスや指導に則った行動を自身が取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。
“ジュわっと染みた!”を実感したい
5/22(水)
資格予備校の授業が行政法の総論から各論に突入した。理解すべき主な法律は、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、そして地方自治法等だ。このカテゴリーの単元ほぼ毎年出題されており、設問パターンも固定されているので得点源にするべきところじゃ。これまでの憲法や民法と比べ、条文や判旨の空所補充等のいわゆる知識問題が大半なので、暗記による学習が中心になる。学習方略はこれまでと大きな変更は無いが、下記2点に重点を置くことにした。
①更なるスキマ時間の活用
②バランスを意識した既習科目のアウトプット
①はスマホを最大限活用する。つまり【アプリの問題集によるアウトプット】と【音声による耳からのインプット】の併用じゃ。【アプリ問題集】は主に電車やバスの待ち時間や移動中、トイレ中、病院での待ち時間等で活用する。スマホ片手で問題演習できるので利便性が高く、正解不正解の履歴が残るので、帰宅してからの不正解箇所の授業テキストによる振り返りが可能になるのでとても効率が良い。【音声によるインプット】はテキストの条文やポイントを自ら音読のうえ録音し、テキストやスマホを見られない時間(徒歩中・食事中・睡眠中)に聴く。特に【歩きながらの耳からのインプット】は予想以上に効果があるように感じる。録音の手間が少々面倒じゃが、【テキストを音読する作業が記憶に作用する】と考えれば合理的な方法じゃと思ってここ1カ月やり続けている。最初は晩酌後に自分の声を聴きながら床に入ると悪酔いしそうになっていたが、今はそれもだいぶ慣れた。習慣とは恐ろしいものじゃ。
☛「塾ジイの日記」24 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5158724/
あと意外と【入浴中の耳からのインプット】も効果的じゃ。おそらく副交感神経の影響でリラックスし、βエンドルフィンが活発に分泌されるから相乗的に記憶力が促進されるんじゃろう。テキストを読み上げる自分の声を聴きながらアロマオイルが入った湯船に浸かるのは妙な感じだが悪くない。入浴後の【晩酌5分間の集中インプット】に持ち込めば効果倍増じゃ(ちょっと無理があるか…)。
☛「塾ジイの日記」25 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5159463/
②は【インプットした既習事項の記憶の維持】が目的じゃ。これまで履修した憲法や民法の知識もこまめにメンテナンスを入れる必要がある。それを実現するためには【学習時間の細分化】がポイントだと判断し、一日の学習時間をコマ割り(30分~1時間)した。例えば、7時~8時…行政法総論、8時~9時…民法、19時~20時…憲法、21時~22時…行政法各論、22時~22時30分…その日のまとめ、というふうな“時間割”を立てた。この方略のメリットは「ダラダラ」「ポカーン」の時間を撲滅できるところにある。①②の作業中に生じた疑問点は【その日の最後に一気に授業テキストで確認→再インプット】する。この方略の根拠は
ア)【記憶は就寝前が効果的】…脳内にインプットされた情報が睡眠中に整理される
イ)「これなんやったっけ?」と思ったタイミング=【脳がその情報を欲しがっているとき】
特にイ)は重要じゃ。たとえば急にラーメンや餃子が食べたくなったとき、【すぐに食べるとメチャ美味しく感じる】が「数日後に食べても期待していた程美味しく感じない」のと同じじゃ。つまり【食欲や知識欲は脳が欲しているときに吸収するのが効果的&効率的】だということじゃ。【模擬試験は受験“直後”の見直しが効果的】というのもこれと同じ原理と思われる。
☛「塾ジイの日記」17 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5155870/
一日のサイクルが受験勉強中心になってきた。睡眠時間&晩酌タイムを基軸にしつつ、一日一日、一時間一時間を一歩ずつ踏みしめて行政法という大山を征服することにしよう。
*人物名等はフィクションです
*参考書籍:
デキる大人の勉強脳の作り方 池谷裕二 監修
脳を一番効率よく使う勉強法 福井一成 著
成績が上がる学びの習慣 紀野紗良 著*drawn by 蒼りんごさん
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