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「塾ジイの日記」24 ―耳寄りなスキマ時間活用法―

久保克己

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テーマ:受験勉強における学習方略

出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験を受験することにしました。これまで自身が発信してきた他人に向けたアドバイスや指導に則った行動を取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。

初めてのテスト結果

4/8(月)
一回目の単元別到達度テスト(憲法・基礎法学)の結果が返却された。
☞「塾ジイの日記」17 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5155870/
得点は120点満点中72点(平均点83.8点)偏差値44.6ポイント、順位は311人中210位じゃった。この数値だけ見るとイマイチだが、判定はA判定。コメントは「この科目については、おおむね合格レベルです。不正解となった問題を中心にして弱点分野を克服し、さらに得意分野を強化しましょう」とあった。行政書士試験の憲法・基礎法学の難度は高く「正解率5割」が合格目標と言われているのも頷ける。テストの復習時に作成したデータに設問ごとの正答率を入力し、正答率が50%以上で正解できなかった問題を抽出するための準備をおこなった。
☞「塾ジイの日記」21 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5157398/
とは言うものの、正答率が50%以上の問題は20問中17問じゃったから、殆ど正解しなければならない問題ということになる。今回の結果を踏まえて再度のテストの見直しを実施することにしよう。

新たな学習方略によるインプット→アウトプットの強化

授業の復習の作業工程は確定したが…

①授業当日(休憩時間&授業後)のテキスト見直し
②翌日以降該当箇所の復習用ドリル演習→テキストと予習データ見直し
③該当単元の過去問演習→間違った設問のテキストと予習データによる見直し&確認
☞「塾ジイの日記」22 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5158144/

②の【翌日以降該当箇所の復習用ドリル演習→テキストと予習データ見直し】にかなり時間がかかる。振り返るとテキストの見直し作業に時間をかけすぎていることに気づいた。やはりまだテキストを見つめている、つまり“watch”している時間が長いということだ。今後行政法の科目に入った後のことを考えるとこのやり方を改善しておく必要がある。そこで、テキストを見て記憶するのも作業に落とし込むことにした。その作業とは…【音読】じゃ。テキストを音読し、【音読したらその内容は脳にインプットされた】という体にした。そしてせっかくなのでこれを録音し【スマホで歩いているとき&入浴中に聴く】ことをルーティンに加えた。浴室でのスマホの音声を聴取するために浴室用の耐水スピーカーを購入した。乗り物での移動時間はスマホの問題集を解いているので、この方略によってほぼすべてのスキマ時間を学習で埋めることができる。更に就寝する際もヘッドフォンで聴くようにすれば【レム睡眠時に記憶する環境】も創出できる。

そういえば昔「睡眠学習」という教材が一世を風靡したな。あれは「寝ている間に学習内容を記憶できる」という夢のようなマシーンじゃった。中学生の頃、裕福な友達の家へ遊びに行ったときにそのマシーンを見せてもらった。そして驚いた。睡眠学習の機器から流れる教科に関する音源は、なんと自分で録音するというシロモノだった。わしはてっきり「知らないことが朝起きたら頭に入っている」と思い込んでいた。当時の小中学生、いや高校生もきっとわしと同じことを考えていたに違いない。しかし、商品の説明にはそんなことは一言も謳っていない。「睡眠学習」というネーミングが子どもの「楽して憶えられる!」という妄想を掻き立てていただけだったのだ。今から思えばビジネスモデルとしてはかなり緻密な手法じゃ。しかし、注目すべきは、このマシーンを使っていた裕福な友達の成績が劇的に上がったということじゃ。その理由は極めて単純かつ科学的じゃ。つまり【自身で教科書を音読&録音→その音声を何度も聴く】=【口と耳を使ったインプット→耳を使ったアウトプット】の作業が成果をもたらしたということじゃ。じゃから、あのマシーンはある意味まっとうなコンテンツだったと言える。脳科学の世界でも【目から入った情報よりも耳から得た情報の方が記憶として定着しやすい】と言われている。そして今回この方略に“あるスパイス”を配合すると成果があがるのでは?という仮説を得た。それを検証&立証するために【「あの時間」の活用】を今夜から試したいと思う。その内容と成果は次回の日記に書くことにしよう。

*人物名等はフィクションです

*参考書籍:「デキる大人の勉強脳の作り方」池谷裕二 監修
      「成績が上がる学びの習慣」紀野紗良 著
      「脳を一番効率よく使う勉強法」福井一成 著
*drawn by 蒼りんごさん

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久保克己(塾講師)

株式会社京進

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