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離婚後の子供の「親権者」はどのように決めたら良いのでしょうか?

薦田純一

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 前月(平成29年1月26日)、東京高裁は、別居中の両親が長女(9歳)の「親権」を争った離婚訴訟について、昨年の3月に出されていた第1審の千葉家庭裁判所・松戸支部の判断を覆す判決をしました。
 先の松戸支部の判決では、母親と長女との面会交流を年間100日程度認めると言う提案をした父親に親権を認め、同居している母親に長女の引き渡しを命じるという判断をしていました。この判決は、子供との面会交流を幅広く認める方の親を優先するという「寛容性の原則」を重視したものだとされて注目を集めていました。報道によると離婚の件数は年間22万件もあるそうで、「少子化」の影響もあり子供の奪い合いも多くなっていますし、国境をまたぐ子供の連れ去り等を禁じた「ハーグ条約」への加盟もあり、欧米的な「共同親権」を日本も導入すべきではないか等の提案もあるので、実は当職も大変注目していました。
 これに対して、今回の高裁判決は、従来通り、同居する親を優先する「継続性の原則」を重視し、面会の回数だけが唯一の基準ではなく、他の事情よりも重要性が高いとは言えないと判断したものです。確かに、長女は小学校に通っていて学校を中心に生活基盤を築いていることなども考えると、年間100日の面会というのは長女の負担も考えると現実的では無いと思います。ある自治体では、相談窓口を設けて「養育プラン」の作成援助や子供の情報を共有するための冊子の作成や面会場所の提供などの取り組みを始めているところもあると聞いています。このような取り組みは是非行政レベルで進展させて頂きたいと思いますし、「共同親権」などは立法論として検討すべきことだと思いますが、弁護士としての当職としては、現在の実務では消極的なのですが、「親権者」と「監護権者」を区別して指定する方法をもっと積極的に検討しても良いのではないかと考えています。この問題は、さらに折を見て発展させて行きたいと考えています。

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