離婚後の子供の「親権者」はどのように決めたら良いのでしょうか?
最近、「高齢化社会」の到来の時代を迎えて、お年寄りの方の介護の問題やその財産管理の問題などが、色々な角度から取り上げられるようになってきています。
その中でも、今回は、「遺言の無効」と言う問題を取り上げたいと思います。例えば、高齢の父親を引き取って長年面倒を見てきた長男が、父親が死亡後した後に、高齢の父親を近くの公証人役場に連れて行って、遺言書を書いて貰っていると言って、無くなった父親名義になっていた不動産などを全部この公正証書遺言で自分名義に移転登記してしまっていたとしたら、他の相続人の方(例えば妹さん)は、どうしたら良いでしょうか?
お父さんの「遺言書」があり、しかもそれが公正証書遺言だったのですから、残された方法は、「遺留分減殺請求権」(民法1028条・同1031条)を行使するしかないのでしょうか?
ところが、妹さんは、お父さんが「公正証書遺言」を作成したとされている頃には、お父さんを見舞いに行っても私が誰なのか分からないような様子だったこともあることを覚えていました。そこで、その遺言書は、お父さんが「遺言能力」が無い状態で作成されたものだとして「無効」だと主張して争うことが可能です。ただ、その当時お父さんは「成年後見人」の選任を受けてはいませんでしたので、その「遺言能力」が無いことの証明は、どうすれば良いでしょうか?ここが、弁護士の腕の見せ所です。従前はなかなか公正証書の遺言を無効にすることを認めるような裁判例は稀でしたが、当職はこれまでに何件か公正証書の遺言を無効にする判決を貰ったことがあります。
その結果、上記のこの公正証書遺言を登記原因にして移転したお兄さんへの移転登記も無効になりますが、お兄さんにも相続分がありますので、その全部を無効にすることは出来ません。しかし、お兄さんは、何も訳が分からなくなっている高齢のお父さんを公証人役場に連れて行って自分に有利な遺言書を作成させていますので、お兄さんの相続分を奪ってしまう方法があります(民法891条)。これを「相続欠格」と言います。
このような一連の流れについて頭に入れておかれると、遺産相続に際して、他の相続人の方よりも一歩先んじることが出来るかも知れませんね。