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野菜を中心に素材の持ち味を生かしたイタリア料理で、体と心を健やかに

野菜本来のおいしさを引き出し生かすイタリア料理のプロ

石橋玄次

石橋玄次 いしばしけんじ
石橋玄次 いしばしけんじ

#chapter1

野菜ソムリエのシェフが“食べておいしい料理”と“ワクワクと楽しい時間”を提供

 「肉や魚に添える脇役のように思われがちな野菜ですが、実はとても個性的で風味が豊か。メインに匹敵するぐらい食べ応えがあるんですよ」

 そう話すのは、京都市下京区でレストランを開く「京都イタリアン欧食屋Kappa」のオーナーシェフ、石橋玄次さん。旬や鮮度を見極める目利き力、栄養価を高めるなど素材に応じた調理方について知識を備えた「野菜ソムリエ」でもあります。
 農家や産地直売所、市場に足を運び、化学肥料などに頼らない有機・減農薬栽培の野菜を厳選。「心と体を健康に」をコンセプトに掲げ、メニューを展開しています。

 「プロとして素材や調理にこだわるのは当たり前。当店ではプラスアルファの要素として、野菜の魅力をお伝えしたいと考えています。お客さまが目の前の一品一品に興味を持ち、それぞれの特長などを感じ取れるよう工夫しています」

 “食べておいしい料理”とともに、“ワクワクと楽しい時間”を提供するのが石橋さん流。名物の「30品目のサラダ」や「50品目以上のお野菜とお肉とお魚が楽しめる贅沢コース」のサラダは、お皿の上の野菜と名前を照らし合わせ、食材とじっくり向き合えるお品書き付き。緑、赤といった鮮やかな彩りと、シャキシャキ、ホクホクとした食感などを心ゆくまで堪能できます。
 また、石橋さんが生まれ育った亀岡のブランド和牛・亀岡牛や、妻の出身地・高知県の宿毛漁港直送の魚介を使ったメインディッシュも好評。カウンターとテーブルを合わせて25席ほどの店内には昼も夜も、料理やワインの香りと来店客の笑顔があふれます。

#chapter2

畑を訪れ、手塩にかけて育てられた野菜を無駄なく生かしたいと考えるように

 石橋さんが野菜にこだわるようになったのは、京都府の南西に位置する向日市で農業を営む母の友人の畑に赴いたことがきっかけです。
 「キュウリをかじって驚きました。味が濃い! 農薬を使わないとのことで、土壌環境によってこんなにも違うのかと身をもって知りました」

 飲食店では、食材を卸業者に配達してもらうのが一般的ですが、手間暇をかけて作物づくりをする様子を目にし、「こちらの都合でサイズや個数を指定して届けてもらうのは申し訳ない」と、自ら収穫することにしました。
 「夏の暑い中長袖を着て、長時間同じ姿勢で作業するのは想像以上にしんどかったですね。冬は雪が舞って寒い中、ぬかるんだ土からカブを引き抜いたりして。やってみて初めて農家の方の苦労が分かり、野菜に対する愛着がすごく深まりました」

 手塩にかけて育てたものを一つたりとも無駄にできないと、以前にも増して素材の生かし方、持ち味の引き出し方などを真剣に考えるようになった石橋さん。畑から戻り調理場に立つと、さらなる気づきが。
 「生命力がとにかく強い。採れたてを新聞紙に包んで冷蔵庫に入れると、レタスやホウレンソウのような傷みやすい葉菜類でも1週間くらいきれいでみずみずしい状態を保ったりするんです」

 石橋さんは少しでも新鮮な野菜を扱いたいと、生産者と直接やり取りしたり、産直の品が並ぶ道の駅やマルシェまで仕入れに出掛けたり。2016年の7月に店をオープンしてから今日まで、全て自分たちの目で品質を確かめていると言います。

石橋玄次 いしばしけんじ

#chapter3

「働く大人が輝く社会」を目指し、飲食店の新たな形や可能性を模索

 友人との会食や大切な人とのデートなど、開業以来、多くの人を迎え入れてきた石橋さんですが、コロナ禍には来店者が大幅に減り、厳しい時期を過ごしました。「自分が成長しなければ、会社も店も成長しない」と空いた時間を自己研さんに充て、異業種が集まる勉強会などにも参加しました。

 各界の現状に触れ、自己を見つめ直す中で、「働く大人が輝く社会を作っていきたい」という目標を持つように。業界が抱える課題に目を向け、飲食店の新たな形を模索しています。

 「私たちの業界は営業時間が長く長時間労働になりがちなので、当店では定休日を増やしています。スタッフの休日を週に2日確保した上で、お客さまと交流できる方法はないかと考え、店休日にバーベキュー大会を開催したところ、50人もの方が集まってくださったんです。近い距離で和気あいあいと触れ合うことで、より親密になれた気がしますね」

 健康に関するランチ付きの体験型セミナーも企画しているという石橋さん。実兄が営む障害福祉や児童発達支援事業を手伝った経験から、飲食に特化した障害者雇用施設の開設も目指しているとか。
 「食を通じて、世の中のお役に立てるような仕組みを作っていきたいですね。お店に来てくださるお客さまを、丹精込めた食事でもてなすのが本筋ではありますが、地域の皆さんがつながるお手伝いをすることもまた、私どもの役割の一つではないかと感じます。当店から、さまざまなコミュニティーが広がることを願っています」

(取材年月:2023年6月)

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石橋玄次

野菜本来のおいしさを引き出し生かすイタリア料理のプロ

石橋玄次プロ

イタリア料理店オーナーシェフ

京都イタリアン欧食屋Kappa

メイン食材は農家や産直、市場にシェフ自ら足を運んで選び抜いた野菜。彩り、風味、食感の豊かさを体感する一皿で、体と心に栄養を。自家製ドレッシングやシェフが目利きした野菜セットも店頭で購入できます。

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