海外企業へのM＆Aにより、新たな企業価値を生む事業承継を導く（2/3）

組織変革のチャンスとして、M＆Aを前向きにとらえてほしい

　亀田さんが、M＆Aによる事業承継に取り組んだきっかけは、通訳としてある企業の海外取引を支援したことでした。
　「寺院の釣り鐘などを製造するメーカーで、国内の需要は先細りの一途をたどっていました。経営者の〝後継ぎがいない〟との一言に、取引先の海外企業が『このようなすばらしい鋳造技術があるなら、ぜひ引き継ぎたい』と目を輝かせ、その後承継に至りました。日本企業への視点の違いに驚き、アイデア次第で埋もれていた価値を再発見できると実感しました」

　その後、自身のゲストハウスを売却することになり、さらにM＆Aについての知識やノウハウを深めた亀田さん。2021年からアドバイザー業務を開始しました。
　「M＆Aのことをよく知らないがゆえに、会社を売ることに抵抗感を覚える経営者はまだまだいます。それまで大事に育て、続けてきた事業が、後継者不在で途絶えてしまうのは、もったいないことです。M＆Aの認知度を高めて後継者問題を解決し、社会に貢献できればと考えるようになりました」

　全国さまざまな業種で、相談件数は約130件に上り、紹介での依頼が中心だそうです。
　「M＆Aにより第三者の視点が入ることは、組織が変わるチャンスでもあります。従業員の雇用継続を条件にすれば、雇用は守られ、現場の期待感が高まる例も見てきました。近年、海外の経営者や起業家が、日本で事業を立ち上げたいというニーズは高まっています。培ってきたデータベースをもとに、よいご縁をつなぐために力を尽くします」

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