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Vol.59 学びのゴールは「楽しむこと」だった?──論語から考える教育の本質

土居郁男

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テーマ:学びの本質

学びのゴールは

「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」

論語の中でも有名な一節です。
「知っているだけの人より、好きな人の方が優れている。
そして好きな人よりも、楽しんでいる人の方がもっと優れている。」
そんな意味となります。

~ 学び ~ というと「努力」「忍耐」「試験」が連想されがちですが、孔子が目指した最終形は「楽しむこと」。
2500年前の古典が、実は現代教育にとても新鮮なヒントを今でも与え続けてくれていると思います(*^^*)

「知る」と「好む」の違い

まず「知る」についてはそのまんま、知識として情報を理解する段階です。

学校で習ったことを覚えて・・・テストで再現できる。
これは典型的な学びの例と言えます。

一方、「好む」はその知識が「好きになる」状態。
たとえばプログラミングでif文の使い方を知ったあと、
「もっと面白い条件分岐を作ってみたい!」と自分から試し始めたりするなど、実際の行動に反映されるのがこの段階と言えます。

  • 知る ➤義務的、受動的
  • 好む ➤主体的、知的好奇心が動き出す

「楽しむ」という究極形

そして孔子が最も高く評価したのが「楽しむ」ということ。
楽しむとは、やらされるのではなく、自分の意思で没頭したりすること。
いわばフロー状態に入ることです。

数学の問題がパズルのように面白く感じたり・・・
英単語を覚えるのがゲームのスコア更新みたいに楽しくなったり・・・
プログラムを書いて作品を作るのが趣味になってくる・・・

などなど。

この段階に入ると、学びはもはや「苦痛」ではなくなってきます。いえ、「難しい・苦しい」と感じるときでさえも、そのような時間を楽しめてしますのです。
「学び」は、時間を忘れて取り組む「遊び」に変わり、「知識」が本当の意味で「自分のもの」に変化していきます。

  • 学び ➤ 遊び
  • 知識 ➤ 体験

現代教育への示唆

現代の教育は「知る」で終わることが多いと言えます。
なんせ、テストで正解することこそが、学校で一番求められていることで・・・(でもこれも必要でないわけではないけれど)、ただ点数が高ければ優秀であると判断されるという評価軸。
その評価軸は、学校がというよりも、実は保護者も、周りの大人も協力してそんな雰囲気や認識を作り出してしまっているのが、今の社会と言えるのではないでしょうか。

そう、保護者も自分の子どもが点数が取れなければ不安で不安で仕方ないから・・学校以外の時間の多くを塾に通わせたりすることで「安心」を得たくなってしまうのです。

でも本当に育てるべきなのは、「学びを楽しめる人」ではないでしょうか。

  • 「これ面白い!」と感じる瞬間を増やす
  • 先生が全部答えを教えるのではなく、ヒントだけ出して考えさせる
  • 失敗しても笑える空気をつくる

こうした工夫が、学びを「義務」から「遊び」に変えてくれるように思います。

「遊び」が「学び」に変わり、
「学び」が「遊び」に変わるのです。

まとめと問いかけ

学びのゴールは、知識を詰め込むことではなく、
「学ぶって楽しい!」と心から思える状態になることだと考えています。

そうすればきっと、世の中の色んなものは「新鮮」に見え、どれを見ても楽しく、そして、豊かに生きられるようになるだろうからです。

さて、あなたが最近、楽しんで学べたことは何でしょうか?
そして、あなたの子どもや生徒、部下が「楽しむ段階」に入るために、
どんな工夫ができるでしょうか?

学びは本来、楽しいはず。
孔子の言葉は、今の時代にこそ思い出す価値があるのです。
動画解説

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専門家

土居郁男(プログラミング講師)

スターティングPCスクール(Stapa Programmer’s Guild)

生徒一人ひとりと対話して向き合い、本人自身も気づいていなかった強み、興味、関心、特徴などを見つけます。各自のプロジェクトを通じて、楽しみながらプログラミングを学べる、自由な雰囲気の教室です。

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