Vol.14 本を手にするという魔法

今回はうちの職業訓練校で実施しているメタ認知と再就職へのつながりについて、どんなワークショップの流れでやっているのかメモ帳代わりに記載しています。
はじめに
再就職を目指す職業訓練では、パソコンスキルや資格の取得だけでなく、自分をどう伝えるかが重要になります。
特に、これだけ労働力人口の多くで高齢化が進み、また、転職が普通になっている世の中において、自分自身を深く知る(メタ認知)ことは、昔に比べると非常に重要なものとなっています。
単なる興味関心や経歴、スキルの棚卸しにとどまらず、
「あなたはだれなのか?(自分はどんな人間か?)」
を深掘りするワークショップを実施しています。
なぜ「メタ認知」が重要なのか
メタ認知とは、自分の考え方や行動を客観的に把握する力のことです。
この認知が深まることで、面接や職場でのコミュニケーションにおいて、自分の強みや価値観を的確に言葉にできたりします。
また、再就職活動の現場では、この力がまさに、自己PRや志望動機の説得力を大きく左右します。
ワークショップの流れ
1. 自己分析(16personalitiesを活用)
少し古いし、色んな評価がわかれるところですが、ユングの心理学的タイプ論に基づいた(※このことも少し議論があったりします)、Web診断サービス「16personalities」を使って、自分の性格タイプを遊びながら知る機会を持ちます。
リンク➤16personalities
- 行動パターン
- 強み・弱み
- 人間関係での傾向
といった情報が可視化され、自分を説明する材料が増えます。
2. 自己紹介の作成
診断結果を(あくまで)参考に、以下のような切り口を盛り込んだ自己紹介を作成します。
- 性格や価値観
- 得意なこと・苦手なこと
- これまでの経験で活かせる強み
この際、ちゃんと話せるかどうかは、それほど関係ありません。
自分の内側と深く対話しながら、「自分とは何なのか?」「私の隠された特徴について知っていたか、あるいは、当てはまっているのか」など、単なる経歴やスキルとか趣味の紹介ではなく、自分の内側と話すように考えながら紹介してもらいます。
つまり、「作りこまれた自己紹介」ではなく、「そういえば昔こういうことがありましたが、今思えばそれば・・・」のように、口語によってつぶやきも混ざって構わないものです。
また、それに対して周囲の聞いている人もあくまで肯定的にうなずきや同意の言葉を出していい時間としています。(※ただし聴いている人自身のことを語ったり、質問は極力避けます)
3. 他己紹介(インタビュー形式)
次にペアを組み、互いにインタビューをします。
- 聞き手は質問を通じて相手の特徴や、隠れた内面のいいところを引き出す
- 聞かれた側にも益になる質問とする
- オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
その後、第三者の目線から「この人はこんな人です」とテレビ番組の「A-Studio」で笑福亭鶴瓶さんが最後にされているようなコメントの仕方を参考に紹介してもらいます。
これにより、自分では気づいていなかった魅力や特徴を、自分が語る切り口以外で知ることができます。
期待できる効果
- 自分を客観視する力がつく(メタ認知力アップ)
- 自己PRの幅が広がる(面接で具体的かつ、人間味ある深いエピソードが語れる)
- 新しい自分を発見できる(他者の視点から得られる気づき)
まとめ
このワークショップは、自己分析 → 自己紹介 → 他己紹介という流れを通じて、
「自分とは誰なのか?」を言葉にする、そんな力を鍛えるものです。
やっていることは、昔から多くのキャリアを考えるワークショップなどで利用されている使い古された手順にはなりますが、大事なことは、これらのワークショップはとても楽しく、そして、とても自分の内側と深く対話できる空間づくりを講師が出来るかという一点に尽きます。
再就職活動ではもちろん、日常のコミュニケーションや人間関係の構築、vucaの時代における新しい自分の在り方そのものを考えることにも役立ちます(*^^*)
まずは自分を知ること。それがどんな時代にあっても未来を切り開いていける第一歩になると考えます。
「あなたは誰?」と、自分に問いかけてみませんか?



