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Vol.36 「与えること」は、なぜ幸いなのか?——涸れないやさしさを育む対話

土居郁男

土居郁男

テーマ:学びの本質

マザーテレサ

はじめに)心に残る3つの言葉

「徳有るは契を司り、徳無きは徹を司る。」――老子
「貧しいのは分け合わないからです。」――マザー・テレサ
「受けるよりも与えるほうが幸いである。」――聖書

これらの言葉は、自分の中でずっと生き続けている指針です。

いずれも「与えること」に関する言葉ですが、単に「人に尽くしなさい」「我慢しなさい」と言っているものではなく、もっと深いところで、人と人との本質的な関係のあり方や、やさしさや思いやりの源泉について問いかけてくる言葉です。

わたしは、普段「対話」を大事にしたプログラミングスクールを毎週開いています。
自分の言う対話とは本当の意味で目線を合わせることを求めていますので、そこに、

「〇〇という言葉遣いをするべきではない」
「普通は〇〇だから・・」

などの、「大人が考えそうな当たり前」は排除しています。

むしろ対等に、お互いのありのままの自分で話すので、きっと小学生には理解できそうにない哲学的な話や理屈、あるいは、反対に、子どものようにゲームへの熱狂をそのまま取り上げ、喜怒哀楽を共にしています。

そうすることで、対話の中に

人と人とのつながりの大事さ
分けあうことの大事さ
与えることの大事さ

について、生徒自らが気付いていく不思議な空間が生まれてくるのです。
まずは一つ一つの言葉を紐解きながら、ぜひ皆さんにもお勧め出来たらと大きすぎるお節介の元に書き進めてみます( *´艸`)

老子「徳有るは契を司り、徳無きは徹を司る」

この言葉は、表面的な契約や強制的な命令ではなく、「徳」という目に見えない信頼と調和によって人がつながる理想を示しています。

徳があれば自然と人の心は動き、道が開かれていく。徳がなければ、無理にルールで縛ったり、徹底させたりしなければならないということです。

これは教育にも通じています。
生徒の心を動かすのは、スキルでも理屈でもなく、その人を信じて向き合おうとする「徳のような姿勢」です。
相手を導くのではなく、寄り添い、一緒に歩む。
そこに契約ではなく、つながりが生まれます。

「貧しいのは分け合わないからです」マザー・テレサの問い

「貧しいから分けられない」のではなく、「分けないから貧しい」という逆転の発想のようなこの言葉に、当時のマザー・テレサの活動(※貧困層や病人に寄り添い、彼らのための施設=ホスピス、孤児院、ハンセン病患者の施設などを設立し、運営すること)も合わさって、ハッとさせられます。

この言葉は「物の貧しさ」だけでなく、「心の貧しさ」のことを指しています。

誰かの話を聞くこと、成功を喜ぶこと、気持ちに共感すること——それも「分かち合い」です。
もちろん物理的なお金や食事のこともその通りではあります。

もし私たちが、相手のことを知ろうとせず、自分の思いや理想だけを伝えていたら、それは「与えている」ようでいて反対に「奪って」いることにつながるかもしれません。
残念ながら、多くの人が自らのビジネスを推し進めたいために、他者の気持ちを考えずに、さも自分たちこそのビジネスこそが正義のように時間やモノ・ヒト・カネを積極的に得ようと(=奪おうと)しています。

「受けるよりも与えるほうが幸いである」

この聖書の一節は、ときに誤解されやすい言葉でもあります。

「与えるほうが上」というようなマウントポジションな意味ではなく、一般的には「与えることのなかに、自分自身が満たされていく喜びがある」という意味になります。

対話の中で、いつも自分は生徒に「自分自身の時間や心」を生徒に尽くして「与えて」います。

どこまでそのようなことが伝わっているのかなどあまり関係がありません。
気が付けば、生徒自身が新しい発見を喜びながら自慢してくれたり、自信ありげにアイディアを披露してくれたりし始めます。

彼らは知らず知らずに、尽きるアイディアではなく、「尽きないアイディアの源泉」を手に入れていくのです。
そして、自分自身もその泉の水で満たされて喜べます(*^^*)

与えると減るのではなく、増えるのです。

締めくくり、または、おすすめ

  • 「対話」とは、「相手に何かを求める」ものではなく、「相手の心と同じようになって優しく触れていく」ことであるということ
  • 「やさしさ」とは、「報われるための行為」ではなく、「枯れない水」のようにお互いに潤されるための力
  • 現代は「与えてもらうこと」「わかってもらうこと」を期待しがちな社会が当たり前になりすぎてはいないか
  • だからこそ、静かに、しかし確かに湧き続ける「やさしさの泉」を育むことが、これからの教育にも、人間関係にも、最も求められる力ではないか

いかがでしょう?言いたいこと、伝わりましたでしょうか?

みなさんの周りの人に、やさしさの泉の水をどんどん流していってみませんか?(*‘ω‘ *)

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専門家

土居郁男(プログラミング講師)

スターティングPCスクール(Stapa Programmer’s Guild)

生徒一人ひとりと対話して向き合い、本人自身も気づいていなかった強み、興味、関心、特徴などを見つけます。各自のプロジェクトを通じて、楽しみながらプログラミングを学べる、自由な雰囲気の教室です。

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