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Vol.12 「バイブコーディング時代」の到来 〜AIに丸投げ時代について〜

土居郁男

土居郁男

テーマ:プログラミング教育

AIを使いこなす青年
皆さん色んなAI、使いこなしていますか?(*^^*)
様々な便利AIやツールを使って、プログラミングコードを生成しているとふと「最近コード書いてる・・?」と聞かれてしまって冷や汗をかくことが増えていませんか?

それでしたら、もしかしてあなたも知らないうちに、すでに「バイブコーダー」の仲間入りをしているのかもしれませんね( ゜Д゜)
今日はSNSでもどこでも一気に広がりつつある「バイブコーディング」という新たな開発手法について掘り下げてみます。

バイブコーディングとは何か?

「バイブコーディング」——その名の通り、コードを書くのではなく「バイブ(雰囲気)」だけを伝えてAIに実装してもらう、革命的な開発アプローチです。

例えば、こんな会話を想像してみましょう。

エンジニア:「ねえClaude、青い背景に浮かぶ白いテキストで、ユーザーがクリックするとキラキラエフェクトが出るボタンを作って」

AI:「はい、こちらでいかがでしょうか?」
(完璧なコードが表示される)

エンジニア:「もっとポップな感じで」

AI:「かしこまりました!」
(さらに良いコードが表示される)

かつてはHTML、CSS、JavaScriptの知識と・・・何時間もの実装時間が必要だったものが、今や「ポップな感じで」という抽象的な指示だけで完成してしまう時代。これぞまさに「バイブコーディング」の世界です。

バイブコーディングのメリット

「雰囲気だけでコードを書かせる」という、一見怠け者すぎるような手法ですが、実はメリットがたくさんあったりもします。

1. アイデアから形へのスピード感

「ちょっとしたアイデアがあるんだけど...」と思いついた瞬間から数分で動くプロトタイプが完成します。
かつては「いいアイデアだけど、実装に3ヶ月かかりそうだから保留」となっていたプロジェクトが、今や「とりあえず作ってみよう」で済むようになり、簡単なプロトタイプならあっという間です。

2. 技術の民主化

「プログラミングわからないんですぅ〜」と言っていた営業担当が、突然「ちょっと昨日顧客管理ツール作ってみたんだけど見てくれませんか?」と言い出す時代になりましたw
コード恐怖症だった人々が次々とアプリを作り始め、年齢やこれまでの学習環境など関係なくテクノロジーの力を手にしています。

3. クリエイティビティの解放

技術的な制約に縛られることなく、純粋にアイデアを追求できるようになりました。
「それ技術的に難しいかも...」という言葉が会議室から消え、代わりに「どんな体験を作りたいか」という本質的な議論が増えてきます。

バイブコーディングの落とし穴

とはいえ、バラ色の未来だけではありません。「雰囲気」だけでコードを書いていると、いくつかの問題が発生します。

1. 「なんか動いた症候群」

「え、なんで動いたの?」
「さあ...でも動いてるからいいんじゃない?」
という会話が増えてきますw
何が起きているのか理解せずに進むことによる技術的な負債は、将来的に大きな問題となる可能性が考えられます。

2. デバッグの悪夢

「動かなくなった...」
「なんで?」
「わからない...」
自分で直接書いていないコードが突然動かなくなった時の絶望感は想像以上です。まして、プロジェクトが結構進んでいる時に直面すれば頭が正常な回転をしなくなったりします。
AIに「直してと頼むしかない状況」
は、一気に自分のエンジニアとしての価値観を貶められたように感じ、絶望と自分への失望、無力感を一気に味わうかもしれません。

3. 技術理解の低下

「フロントエンドとバックエンドの違いがわからない」
というような新人エンジニアがきっと増加しますし、もしかしたらそのような単語自体が死語と感じてしまうかもしれません。
基礎的な理解なしに開発を進めることで、長期的には技術革新の停滞を招く恐れが考えられます。

教育現場への影響⇒プログラミング教育はどう変わる?

こんな時代において、プログラミング教育はどうなっていくのでしょうか?これは特に重要なポイントです。
「for文」を教える必要はあるのか問題
「for文って何?AIに『繰り返して』って言えばいいじゃん」
という、ちょっと自分もこの記事を書いていてよくわからなくなってきそうですが(w)、そういった質問をする学習者が増えてくるかもしれません。
基本的なアルゴリズムやデータ構造を教える意義が、改めて問われ始めるのではないでしょうか。

面白いことに少し前から「プロンプトエンジニアリング」という言葉もまたよく聞くようになりましたね。
「AIにうまく伝える技術」が、かつての「コードを書く技術」と同等か、それ以上に重要視されてきているのです。

「コンピュータサイエンス科」から「AIコミュニケーション科」へ
一部の学校のカリキュラムの中にも新しい変化の波が見受けられます。

  • 「AIとの効果的な協働方法」
  • 「人間らしい創造性の活かし方」
  • 「AIが苦手とする問題の特定と解決」

こういったことを重点的に学ぶような科目も現れてきました。

もはや「コードを書けるか」ではなく、「AIと一緒に何を作れるか」
が評価される時代に変わってきているのです。
コンテスト形式の変化
「24時間AIハッカソン」は新しいコンテストの形。もうすでにタイトルからびっくりするネーミングですね( ゜Д゜)
24時間AIハッカソン
よくある「コードの美しさ」を競うとかではなく、評価の基準そのものや視点が大きく変わってくるかもしれません。

結局、大事なのは「何を作りたいか」という本質

バイブコーディングの是非を問う議論はきっと尽きませんが、この潮流が照らし出した本質があると考えています。
それは「技術は(やはり)手段であり、目的ではない」という当たり前の事実です。
「作りたいもの」がなければAIも無力
どんなに高性能なAIでも、あなたに「作りたいもの」がなければ意味がありません。「このアプリがあったら便利なのに」「この問題を解決したい」という思いこそが、すべての原点です。

バイブコーディング時代においても、アイデアを生み出し、それを形にする情熱を持つ人間の役割は変わりません。
むしろ、この潮流を全否定から入るよりも、技術的な障壁が下がったことで、より多くの人が自分のビジョンを実現できるようになったと言うべきでしょう。

「何のために」を考える力
「コードを書く能力」よりも「何のためにそれを作るのか」を考える能力が重要になるでしょう。
ユーザーのペインポイントは何か、社会にどんな価値をもたらすのか・・・そういった本質的な問いに向き合う「時間が増えた」ことは、皮肉にもポジティブな変化かもしれません。

技術的な課題の沼に埋もれることなく、「なぜこれを作るのか」という本質的な問いと向き合える。
それこそがバイブコーディング時代の最大の恩恵かもしれません。

(まとめ)私たちはバイブコーダーになるべきか?

でもあれですね。。
「完全なバイブコーディング」も、
「完全な従来型コーディング」も、
極端な意見です。
理想的なのは、AIの力を借りながらも、基本的な技術理解を持ち、何を作りたいかという明確なビジョンに向かう「ハイブリッドなアプローチ」ではないでしょうか。

自分自身、noteのブログ記事を書く時には、やはりAIとの協働によって考えることが今や普通です。
どうでしょう?そのうち「バイブブロギング」なんてしても面白いかもしれませんwww
ちょっと怖くてまだできませんし、踏み込むためにはまだまだ自分の思考が成熟しておりません(+_+)

覚えておきたいのは、マウスイヤーよりも進歩の速い、便利で素晴らしいテクノロジーたちは、あくまで私たちのビジョンを実現するための「道具」だということです。

大切な「自分が何を作りたいのか」を大事にしつつ、AIと共に創造する楽しさを味わう・・・
そんな、自分らしい「バイブ」を大切にしていきましょう。
バイブコーディング時代を、本当の意味で生き抜くことができるのは、結局のところ、強い「何かを作りたい」という思いを持った人たちでしょうから。

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土居郁男
専門家

土居郁男(プログラミング講師)

スターティングPCスクール(Stapa Programmer’s Guild)

生徒一人ひとりと対話して向き合い、本人自身も気づいていなかった強み、興味、関心、特徴などを見つけます。各自のプロジェクトを通じて、楽しみながらプログラミングを学べる、自由な雰囲気の教室です。

土居郁男プロは高知放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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