中古住宅購入に確認しておくべき、既存住宅瑕疵保険ってなに?
既存住宅瑕疵保険
既存住宅瑕疵保険は、契約期間(2年か5年)の間に瑕疵が見つかった場合、修繕費のほとんどが保険で賄えるほか、検査機関と保険会社の二重の検査を通過しているという意味で、非常に安心できる物件です。
保険会社は国土交通大臣の指定した法人のみであり、検査機関もそこに登録された機関である、ということも信頼性の高さにつながるでしょう。
また、既存住宅瑕疵保険に入ると、様々な税制上の優遇を受けやすくなることもメリットの一つです。ただ、実際の検査基準はそれなりに厳しいものであり、そもそも全ての物件が入れる保険ではないこと、「瑕疵がある」と買い手側が主張すれば必ず保険が降りる訳ではないこと、シロアリによる被害などいくつか保険対象外のものがあることに注意して下さい。
既存住宅瑕疵保険に加入するためには
前回のコラムでは個人での中古不動産の売買において「瑕疵」の保証がどのようになっているか、を簡単にご説明した上で、平成22年から導入された既存住宅瑕疵保険について簡単にご紹介いたしました。その際、既存住宅瑕疵保険には、「検査」と「保証」がついているので、買い手にとって非常に大きな安心材料になるということを申しましたが、今回はその具体的な内容・根拠について見ていきましょう。
既存住宅瑕疵保険は、購入した不動産に2年、あるいは5年の単位で「隠れた瑕疵」が発見された場合、修繕費の大部分を保険で支払ってくれるという制度です。「隠れた瑕疵」についての保証責任が疎かにされがちな中古不動産の取引において、こうした「保証」がある時点で買い手にはかなりの安心感があると思いますが、実は既存住宅瑕疵保険が安心できるという理由は、万一の時に支払われる保険料の話だけにとどまりません。
続いて「検査」という観点から既存住宅瑕疵保険について考えてみましょう。個人向けの既存住宅瑕疵保険に加入するためには、所定の検査機関に依頼し、検査を受けた上で、その検査機関が保険会社に保険を申し込みます。
検査の主な内容は、保険の対象となる「構造耐力(家が様々な重力や圧力、衝撃等に耐えられるようにできているか)」という部分と、「雨漏りが起こっていないか」が中心となります、しかし、保険に加入するためには、まずこれらの検査機関の検査に合格し、その上で保険会社に申請する際には、今度はその保険会社が行う建築士資格をもった検査員の検査による審査にも通過することが必要です。
つまりこの時点で、個人が持っている不動産に対して二重の検査が行われるということであり、「非常に安心できる」ということになるのです。
検査機関や保険会社などの安心感
既存住宅瑕疵保険は、どんな保険会社でも取り扱える訳ではなく、扱うことのできる保険会社は、国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社のみです。まだ数は多くはありませんが、いずれも全国を対象に業務を行っています。
また、検査機関に関してもそれらの保険会社に登録された事業者であり、保険事故の多発した検査機関に関しては、登録を抹消されるなどの措置もありますので、信用できる第三者機関となり得るでしょう。
ちなみに、保険会社が直接保険金を支払うのは、加入者である検査機関に対してですが、万一、検査機関が倒産などをしていた場合は、買主に直接保険金が振り込まれるシステムになっています。
また「こうした検査に合格した」ということで、既存住宅瑕疵保険に加入している住宅は、
住宅ローンに関しても減税などのお得な措置が受けられる可能性があります。
例えば「既存住宅瑕疵保険に加入している」という保険付き保証証明書はローンに関する減税の際に証明書類として活用することができます。
通常、中古住宅を購入する際に住宅ローンに関しての税制特例を認めてもらうためには「耐震基準適合証明書」と呼ばれる書類が必要です。しかし、中古住宅の場合、図面不足等の物件が多いため、耐震診断をしても耐震基準に不適合となる物件は少なくありません。
そんな時でも、既存住宅瑕疵保険の検査を通り、保険に加入することができれば、減税を受けることができるようになっています。
また、築20年を超える木造建築など、通常は住宅ローン控除などの軽減措置の対象外にある建物でも、既存住宅瑕疵保険に加入していれば、軽減措置が受けられるようになるなど、
税制優遇措置の面から見ても、お得になっていることがおわかりになるでしょう。
既存住宅瑕疵保険の注意点
このように、メリットが多い既存住宅瑕疵保険ですが、いくつか注意点があります。
まず、既存住宅瑕疵保険の検査は、それなりにハードルの高いということです。そのため、現在お持ちの中古不動産が必ず加入できるというものではありません。
また、保険金の支払いに関しても、買い主が「隠れた瑕疵だ」と主張すれば必ず保険金が支払われる訳ではありません。「雨漏り」など、不具合がわかりやすい場合は、保証の対象になるかどうか見解が別れることも少ないでしょうが、構造耐力に関しては、その専門性から、意見が食い違うことも出てくることが予想されます。
また、給配水管路や電気設備のトラブルなど、いくつかのオプションでつけられる保険は存在しますが、中古物件の不安要素としてかなり上位に来るであろうシロアリの問題(蟻害)に関する被害は、今のところ保険の対象外となっています。
これまでもお話ししてきましたように、既存住宅瑕疵保険は「加入していれば安心な保険」ではありますが、過信してメンテナンスを怠るなど、思わぬ落とし穴にはまらないよう注意してください。
→次に、既存住宅瑕疵保険付き中古住宅の安心できる保障とは
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