下水道工事の見積金額の差について(番外編)
下水道接続工事というと、トイレの排水と生活排水を下水道につなげるだけと考えている方がほとんどだと思いますが、実は業者や、調査する人によって内容は大きく異なります。
今回は、同じ現場で2種類の見積もりを作った、その【高い方】の内容を紹介します。
前回紹介した【安い方】は既存管を再利用する計画でした。しかしそれには金額が安い代わりに、雨水が溜まるという弊害がありました。もちろんそれで構わなければその内容で工事をして下水道課の検査にも通ります。
「雨水」は樋から流れてくる水だけではありません。地面に落ちた水ももちろん雨水です。それが土へ降った場合はいずれ染み込んでいくのであまり気にしなくてもいいのですが、コンクリートの場合は染み込みません。表面を流れていき多くの場合は、集水マスへ流れていきます。そのマスを下水道のためのマスとして利用してしまうと穴が塞がれますので、水が溜まってしまうのです。
よく、樋だけを別ルートで工事費を安くしている見積もりを見ますが、工事の途中で「この工事では水は溜まりますよ」と言われて初めて理解しても、それを解消しようとすると追加工事となってしまうので、すでに遅いのです。
初めの見積もりが安かったので頼んだのに、追加工事で他より金額が高くなってしまった。というようなことがないように、見るべきは金額だけではなく、その内容まで見る。逆に言えば、その内容をきちんと見せる業者の方が信頼できるのではないでしょうか。
では、初めから安くするとどうなるのかの説明と、それを防ぐためにはこういう工事が必要になりますよ、という見積もり【高い方】の内容です。
集水を兼ねているマスの起点から全部壊して配管の引き直し。さらに集水桝を設置して仕上がり後の水はけもよくするプランです。
さらに図面ではわかりませんんが、【安い方】だと既存管を使用しますので、現在の技術基準より一回り小さい管を再利用ということになりますが、【高い方】の場合は管径をひと回り大きくして技術基準に適合します。
初めから安く持ってくる業者には、追加工事の可能性があるのかないのか、きちんと聞いておいた方がいいです。工事が始まってしまったら、後には引き返せません。追加工事が高くても頼むしかなくなるのです。
では、次回は【高い方】で依頼してくれたお客様。その施工がどうなったのかをお伝えいたします。