AIが当たり前になった業務環境の自動化、そして新たなチャンス(その3)

前回、「ソフトウェアエンジニアの大発生」という話を書きました。今回はその点について、もう少し詳しく、私なりの考察をまとめてみます。
AIを使うということは、私は「袋と荷物」の関係に似ていると思っています。
いつも持ち歩く袋に入れる荷物が増え、入りきらなくなったので大きな袋に替える。最初は余裕があります。ところが、「まだ入るから」と荷物を増やしていくうちに、気がつけば袋はパンパンで、しかも以前より重くなっている。
ソフトウェアエンジニアも、AIを使うことで、これまで手掛けなかったような「重い仕事」に取り組むようになるのではないでしょうか。
ここで言う「重い仕事」とは、単に難しいアプリケーションという意味ではありません。ビジネスの責任範囲や影響の大きさまで含めた意味です。
AIの登場によって、従来の開発ベンダーが手を出しにくかった分野や、そもそも想像していなかったビジネスモデルが次々に生まれ、市場は大きく広がっていくと私は考えています。
現状から最も想像しやすい例は、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)です。単なる業務自動化にとどまらず、AIによって業務の流れそのものが再設計される。
例えば、請求書をスキャンするだけで会計やコスト管理に反映される。社員の出勤が記録されれば、勤怠だけでなく人事データにも連動する。こうした仕組みは、すでに技術的には現実のものになりつつあります。
そして、自分自身が仕事をしていて強く感じるのが、「ビジネスモデルの多様化」です。
ビジネスで最も重要なのは、お客様の存在です。
もしあなたが一人で会社を運営しているとして、都会のスピード感に疲れ、地方で落ち着いて働きたいと考えたとします。AIを使えば開発効率は確実に上がります。
その結果、1社あたりの単価を抑えつつ複数の顧客を支援する、といった形でも事業は成立します。
さらに、「自分のペースで働きたい」「過度な売上拡大は求めない」と考えるなら、顧客数を絞り、価値観の合う企業とだけ長く関係を続けるという働き方も可能になります。
AIは、単に生産性を上げるだけでなく、働き方そのものの選択肢を増やしているのです。
そしてもう一つ、今後確実に影響を与えるのが「ロボット」の存在です。
AIとロボティクスの融合はすでに進んでおり、PCやスマートフォン上のソフトウェアが、現実世界で動く機械を直接制御する時代に入っています。
かつてソフトバンクのPepperのようなロボットが登場し、プログラムによって振る舞いを変えられることが示されました。現在はそれがさらに進み、汎用AIとセンサー、クラウドが連携することで、現場に適応するロボットが現実のものになっています。
ロボットは、動く場所ごとにAIを組み込んだソフトウェアによって制御されます。
その結果、状況に応じた判断や動作が可能になり、ロボットの進化とともにソフトウェアの役割はますます大きくなっていくでしょう。
私たちは、まさにそのような時代の入り口に立っています。
これがソフトウェアエンジニアにとって「バラ色の未来」かどうかは分かりません。
競争は激しくなり、求められる責任も確実に重くなります。
しかし、意志と情熱を持つ人にとっては、間違いなく可能性に満ちた時代です。
それは、今エンジニアである人だけの話ではありません。
「ソフトウェアエンジニア」という言葉は、現在の職業を指すだけのものではありません。
なろうと思えば、これからでも十分に目指せる職業です。
そして、AIの時代においては、「作れる人」「仕組みにできる人」が、社会のあらゆる場所で必要とされ続けるのだと思います。



