ChatGPTを使いこなす?

私は新卒以来、ずっとIT業界で働いてきました。
もっとも、就職した当時は「IT」という言葉はまだ一般的ではなく、「コンピュータ業界」という呼び方が普通だったように記憶しています。
私が入社した1983年、日本IBMは日本IBM初のパーソナルコンピュータである IBM 5550 を発表しました。
今でも覚えているキャッチコピーの一つに、「大容量8.6MBのHD」というものがあります。今から考えると微笑ましい話ですが、当時はそれが本当に“大容量”だったのです。
そこから40年以上が経ちました。
今日は、私自身がこの業界に身を置き続けてきた中で感じてきたことを、少し整理してお話ししたいと思います。
細かい点を挙げればきりがありませんが、誤解を恐れずに言えば、大きくは次の2点に集約できるのではないでしょうか。
1.ソフトウェアこそが重要であること
2.コンピュータはどんどん使いやすくなっていること
まず1つ目についてです。
ITというものは、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークという要素から成り立っています。しかし実際に人間がITを使うとき、必ず介在するのが「ユーザーインターフェース」と呼ばれるソフトウェアです。
その裏側では、さまざまなソフトウェアやハードウェア、ネットワークが動いていますが、結局のところ、このユーザーインターフェースの使い勝手が悪ければ、そのシステムは使われなくなってしまいます。
どんなに処理能力が高くても、操作が面倒なアプリを誰も使いたがりません。
私が就職したころは大型コンピュータ全盛の時代でした。
機械そのものの価格は驚くほど高価で、そこで動くソフトウェアの価格も桁違いでした。一方で、システムズエンジニアの労働対価は、今から思えば「おまけ」のような扱いだったと感じます。
次に2つ目についてです。
これは私が説明するまでもないかもしれませんが、現在ではコンピュータの機能はPCだけでなく、スマートフォンや自動車など、さまざまなハードウェアに置き換わっています。
おそらく多くの人は、スマホや車を使うときに、それを「コンピュータだ」と意識することすらないでしょう。
一つ例を挙げてみます。
今、ファイル(データ、写真、文書など、電子的な塊)をコピーするとき、あなたはどんな操作をするでしょうか。人それぞれだとは思いますが、「ドラッグ&ドロップ」はかなり一般的な操作ではないでしょうか。
ところが、大型コンピュータの時代にはそうはいきませんでした。
ファイルをコピーするためには、JCL(ジョブ・コントロール・ランゲージ)というプログラムを書く必要がありました。
コピー用のプログラム、コピー元のファイル名、ファイルが存在するディスク名、コピー先のデバイス名(当時はディスクや円盤型のオープンリールテープ)、さらには作業領域の指定まで——。
専門的なトレーニングを受けた人間でなければ、とても扱えない世界でした。
ファイルのコピー一つを取っても、40年前と今とでは、操作性に雲泥の差があります。
そして、おそらくマイクロソフトのWordやExcelがオフィスで事実上の標準となったころからでしょうか。「エンドユーザーコンピューティング」という言葉が使われるようになりました。
その実態は、Excelのマクロや関数などを使い、事務処理を担当する人が情報システム部の力を借りずに、自分自身で身の回りの業務を自動化する、そうした取り組みを指していたのだと思います。



