地方の中小企業、医療機関を支援するためにSEが気をつけるべき事
今まで色々全体的な話が多かったのですが、今回は実際にプロジェクトが始まった時の、私が気を使っていることをお話しします。今回は特にスケジュールについての私の考えをご紹介します。
私は約30年間東京のIT(ソフトウェア会社)で働き、お客様の開発プロジェクトに何度も参加しました。それは「IT会社のプロジェクトチームメンバー」という位置付けです。今はお客様の人数も少なく、ITエンジニアは基本私一人です。
そしてお客様はもちろんITにはそれほど詳しい方はいらっしゃらないケースがほとんどです。実際対面でITエンジニア(私)と話しながら、プロジェクトを進めるのが初めての方がほとんどです。
ですので、最初のご提案の時におおよそのスケジュール感をご提案させていただきますが、その後は正直なところ「お客様まかせ」です。こういうとなんかちゃらんぽらんな感じがしますが、お客様からするとそれまでの仕事に加えIT化プロジェクトのために時間がとられるわけですから、私からはお客様にスケジュールでプレッシャーをかけないようにすることに気を使っています。
東京で「スピードを要求される開発」を経験していると、地方の「のんびり感」があることは私も感じます。しかし、その感覚でプロジェクトを進めると、お客様がITを嫌いになる可能性があると考え、スケジュール管理を押し付けないようにしています。
ですので、現実的には週1程度のミーティングで、「来週はお互いにXXXを用意しましょう」というレベルの会話でプロジェクトを進めるパターンがほとんどです。
(正直なところ東京にいた頃の「いったいいつ出来るんだ!」という会話は個人的にはしたくないなあと言う気持ちも強いです)
もう一つ気をつけているのは、「最初に合意したシステム化の目的」を大切にすることです。
お客様によっては最初に決めた「やるべき事」から外れて、ご本人の興味から色々な「別の方向」に進む傾向を持つ方もいらっしゃいます。
私自身は「決めた目標」に合うのであれば多少の「別の方向」にもお付き合いさせていただきますが、ここから外れる場合は「それはこれが終わってからにしましょう」と申し上げるようにしています。
これも以前のような大きなプロジェクトでは絶対なかったパターンですが、こちらでこの仕事を始めて驚いたのが、経営者の方自身に色々な業務のIT化のアイデア次から次に湧き出てくるようなタイプの方がいらっしゃって、「柳井さん、これどうでしょう?あれやってみたいんですがどうですか」と言う感じで会うたびに新しいアイデアをこちらに伝えて来られる方がいらっしゃいます。
こうなるとスケジュールもへったくれも無く、こちらからはそのアイデアに対し、すでに世の中にある物であればそれをご紹介し、適当なものが無く私の手持ちのツールで似たものが作れることができれば、プロトタイプを作ってご紹介する場合もあります。
外部の製品、あるいは私が作ったプロトタイプを元に議論し、実施するか否かを決める事になりますが、とにかくこの型の場合「動くものを見ながら議論する」ことが大切なのだと感じています。この方法ですと、私自身もあまり「スケジュール」を意識せずに気持ちよく仕事に取り組むことができます。