私の地方中小企業における業務効率化へのアプローチ(依頼から目標設定まで)
前回は「目標」を決めるまでの話でした。
もちろん、私自身の中では「ある程度の目標の実現化イメージ」を持って、目標を決めています。目標を決めたら次は私からお客様へ、「目標達成のための具体的なIT化」ご提案の局面となります。
実際の現場では、目標と同時にお客様にこのご提案の話をすることも度々あります。
お客様からすれば、当然「いったいどうやってこの目標を実現するのか?」という疑問(あるいは不安)があるわけです。
そして常に心掛けるべき点は、「お客様の不安を取り除く」ことです。
やはりお客様との信頼関係は業務を進める上で最も重要な事なので、お客様に安心してIT化に取り組んでいただくために、常にこの点に注意する必要があると考えています。
お客様へのIT化提案時、特に重視しているのは、『構築したITがお客様のストレスを軽減する』ことをご理解いただく点です。
ご提案するシステム構成は、ケースバイケースで異なります。
基本的に以前ご紹介した道具を使ってお客様へのIT化をご提案するわけですが、そこまでにお伺いしたことを元に、私の手持ち(またはお客様からご指名)のITツールを使ってお客様のご要望を実現するご提案をします。
提案する時に特に気を使うのが、入力作業です。IT化を行うという事は、(というか全ての業務で)必ずデータの入力作業が発生します。ですので、私の提案では可能な限りこの入力作業の個所を、お客様に具体的なイメージを持っていただけるように気を使います。
今まで手書きに慣れていた方で、かつキーボードやスマホの操作に慣れていない方の多くが、この入力作業で一旦つまずくと、IT化そのものに拒否反応を示すようになるからです。
ですから、私の提案ではほぼ毎回最初から、入力のためのいくつかの方法、あるいは画面構成・レイアウトを考え、実際に新しいシステムのユーザーとなる方々に、入力作業を行うテストにご参加いただくことをお願いしています。
そしてこのことから、どのような会社様にも私の窓口となる「コーディネーター」の役割の方の設置をお願いします。コーディネーターの方には、このような社内の方の、プロトタイピングに参加される職員のスケジュール調整、動作仕様についての社内での聞き取り調査等を主体としてお願いすることになります。
但し、30人、40人と対象の方がいらっしゃって、コーディネーションも大変だというときには、私自身がその役割を担う事もありますが、これはある程度お付き合いが長いお客さの場合限定ですね。
それとこの局面ではあまり表に出ないのですが、自分で気を使っているのが、システムの運用の容易性です。
システムが動き出せば、必ず大なり小なりの「運用」が必要になります。
地方の中小企業のわけですから、もちろん専門要員はいないし、お客様からすればなるべくそんなことに時間を使いたいとは思わないわけです。
この時点ではそこまで詰められていない場合も多いのですが、ある程度その事に注意、心づもりをしての提案となります。
そしてもう一つ大事な事は、「プレゼンテーション」です。
このように考えたIT化をお客様に分かりやすいようにご説明し、これがお客様の業務効率化を促進することをご納得いただく事がこの局面では何より大事です。
思っていることをお客様に伝ええて、お客様に理解していただくのは結構難しいものですが、私はこの「コミュニケーション」こそ、ITに携わる人間の最も重要な業務だと思います。