おぼろ月夜
「親の欲」について考えさせられたことがありました。
親は子どもを授かってはじめて親になれるものですが
生れるまでは、健康で五体満足な子を願い
数カ月して笑うようになれば、笑った我が子を愛しいと思い
歩き始めれば大喜びしてファーストシューズを選び
そうこうしている中、保育園や幼稚園に通い始めると
周りの子と我が子を比べはじめ
一喜一憂して安心したり悩んだりします。
静かに一人で部屋の隅で絵本やおもちゃで遊んでいれば
なぜ他の子のように一緒に遊ばないのかと思い
「○○ちゃん達と一緒に遊べば?」などと集団の中に入るよう促したり、
また、じっとしていられず大きな声で叫び突然走り出したりすれば
なぜこんなに落ち着きがないのだろうと思い
ついつい大声で怒ってしまったりします。
また子どもが成長すると共に
学歴や知名度の高い会社に入ることを親が強く主張しはじめ
その方向へと進ませようと必死になり
家庭教師や塾に通わせる中、
「こんなにお金を払っているのに、どうしてもっと勉強しないの!!」
「どうして成績が上がらないの?このままだと○○してあげないからね!!」
などの言葉で支配してしまっていることに気付かずに
それを「子どものため」、「親の愛」と信じている場合が多くあります。
そこから何十年か経って親が年老い、子どもが大人になってからも
子どもの頃からの親の支配や
他者と比べられて育ったことに対して
大人になっても苦しみや憎しみが消えず
親子の関係がどんどん壊れてしまっている関係性をよく聞きます。
子どもの誕生という
はじまりはすべてが感謝であり、喜びであり
愛しさであり、感動であったことも
年月が経つ度に、はじまりの頃を忘れてしまうのもよくある話でもあります。
はじまりは同じ気持ちであった事が
年月と共に次から次へと私たちは理想に近い変化を求めていきます。
そしてその変化は親の欲である場合も多いように思えます。
私たち人間は欲によって成長する場合もありますし
欲によって苦しむ場合もあります。
そんな中でみんな生きているのかもしれません。
親が子どものために「良かれと思って…」と考えるのは
悪いことではないと思いますが
今一度、子どもの心の状態を想像したり
子どもの立場に立って考えることを意識したりしながら
その子にあった教育をしていけたらと思います。
親と子の問題は永遠のテーマであるようにも
最近強く感じたことでもありました。