空間
16歳と一ヶ月でした。
一年前
貴女は新しい命を
優しく見守ってくれました。
赤ちゃんが泣くとすぐに側へ近づいてくれていました。
あれから少しずつ
貴女は
腰が曲がり、歩くことが
辛そうになって
オムツをつける生活になっていきました。
それでも、
貴女はいつも
自力で立ちあがり
愚痴や弱音も吐かず
一生懸命生きていました。
その姿は本当に
凛として美しく
私に多くのことを教えてくれました。
そんな貴女が
昨晩は、
夜中から、明け方まで
悲しそうな
最後の力をふりしぼるような
嘆きを叫び続けていました。
私はベッドの中に抱き寄せて
トントンと
丸くなった背中を
ずーと撫でていたら
何時間かたって
いつのまにか
叫ばなくなりました。
そして、
しばらくして
時が止まるように
静かな空気を感じました。
貴女はゆっくりと
虹の橋へと導かれていきました。
とても穏やかで、
まだ温かくて、やわらかかったので
私は何度も何度も
貴女の名前を呼び続けました。
そして、
それが貴女の最期でした。
「空高くの虹の橋を渡ると
ふもとには、広い草原があり
そこにはたくさんの亡くなった動物たちが
一緒に仲良く生活しています。
その広場は、何不自由なく動物たちは幸せです。
お友達たちにもたくさん会えます。
そして、
ずーっと先、
飼い主が亡くなって天国に行く時は、先に亡くなった犬は
飼い主の足元へと走って近づいてくれます。
そして、必ず飼い主が天国へ行くように見守ってくれます。
だから、お別れではないのです。
又、会えるときまで。
と言ってあげてください」
そんなお話を
葬儀の担当の方がしてくださいました。
涙が流れて、流れて
そして悲しいけれど
とても落ち着いた気持ちになりました。
彼女との16年間を
慈しみ、感謝したいと心から思います。
命の儚さの中にある
尊い静かな光を
貴女は私に
伝えてくれています。
忘れそうになっていた
静かな光。
私は
あなたの命を無駄にせずに
大切に繋げていきます。
本当にありがとう。
またね。