基本を大事にする(スタッフ)
先日、知人から
「カウンセリングって
気持ちがおだやかになるものでしょ?」
と言われました。
私としては、「ん?ちょっと違うかなぁ」
と思う言葉でした。
カウンセリングでは、
気持ちがおだやかになることもあれば、
問題にぶつかってつらくなることもあれば、
落ち込んだり怒りが沸いたり
いろんなことが起きることがあります。
けれど、おそらく一般的には
“カウンセリングは心を癒すもので
気持ちが穏やかになるものだ“
と思われているのだなと思います。
カウンセリングは、
クライアントさんの抱えている悩みや問題に
カウンセラーが専門的な知識や技術を使って
相談にのり、
最終的にはクライアントさんが
より良くその人らしい人生を
歩んでいくためのものです。
しかし、そのためには、
カウンセリングの過程で
様々なことを体験します。
心の傷つきを癒すこともあれば、
弱さに立ち向かうことが必要な場合もありますし、
時にはグサリと刺さることもあります。
それは、身体の治療とも似ていて、
治すためには時に痛みを伴うこともあります。
けれど、ずっと痛いことばかりではなくて、
じょじょに痛みは消え、癒えていくことが多いと思います。
もし、軽症ではないのに
全く痛みを伴わずに治療ができるとしたら、
それは麻酔の力を借りている時ではないでしょうか。
カウンセリングは主に心を扱うものなので、
心の傷もカウンセリングの過程も
その時の心の状態も
目に見えないものです。
そのためか、
身体の治療であれば、
痛みを伴うことがあっても納得する方でも
カウンセリングで心が痛むことがあると
納得できない方が多くいらっしゃいます。
しかし、カウンセリングで
麻酔をかけている状態というのは
洗脳状態とも言えるかもしれません。
もし、カウンセリングで
カウンセラーがずっと
あなたの言って欲しいことだけを言い
あなたが気持ちよくなることだけを言い
あなたの自尊心が満たされることだけを言っていたら、
それはカウンセリングではないかもしれません。
あなたの心は満たされているようで、
実は何も変わっておらず
カウンセリングの意味がないのです。
もちろん、
痛みを伴わないカウンセリングが意味がない
という意味ではありません。
痛みを必要としない場合もあるからです。
それは身体の治療でも同じですよね。
全く痛くない治療で治る場合もあります。
カウンセリングを受ける際には、
カウンセリングの過程で
痛みを伴うことも
“時には”あるのだということを
知っていていただけると
カウンセリングの効果が出やすいように感じています。
痛みが出た時にカウンセリングを辞めてしまうと、
その先にある変化や改善につながらず、
「痛かった」だけになってしまいます。
カウンセリングで
心が痛むことがあった場合に、
それがカウンセリングの過程で必要な痛みなのか、
誤解やすれ違いによるものなのか、
相性によるものなのか、
カウンセリングの技術の問題なのか、
などを検討することも大切なことです。
もし、カウンセリングを受けていて、
傷ついたり落ち込んだり心が痛む場合には、
ぜひカウンセラーに打ち明けてみてください。
もちろん、カウンセラーに直接言うのは
とても勇気のいることだと思います。
しかし、なぜ痛かったのかを考えることも
カウンセリングの大切な過程なのです。
一般的な人間関係とは異なり、
カウンセリングの関係ですので
カウンセラーはそれをきちんと受け止めて
対応するように努めています。
カウンセリングがクライアントさんにとって
より良いものとなるよう
当センターでもカウンセラーもスタッフも
日々精進してまいります。
文:スタッフsachi
代表:椎名 あつ子