ビッグヒストリー
その日は、半月の日でした
この仕事をしていて感じるのは、
満月と新月の日は
電話やメールも多く
慌ただしく過ぎていきます。
やはり、人の心も、
宇宙の波動のような力に
影響を受けているのだと
いつも何か神秘的な感覚を持ちます。
その日は、
何故か静かな一日でした。
外に出ても人もあまりいなくて、
ひっそりとした
初冬の肌寒い風のせいか、
どことなく切ないような
淋しいような
気持ちになりました。
その人は、
突然、ホロホロと涙を流しました。
押し込めていた悲しみが、
そっと顔をのぞかせてしまったかのように。
流れた涙に
戸惑いながら
小さな声で「ごめんなさい」と
つぶやいたのでした。
固く、冷たい氷が
ゆっくりと溶けてゆくように、
ふわっとした優しい顔で
涙を流していました。
溶けない氷はないんだわ。
その時、心から感じたことでした。
そして、
なんて美しい表情なんだろうと
心から思ったのでした。
時は、少しずつ過ぎてゆきます。
人の心も、少しずつ変化していきます。
ガチガチにかたまった氷も、
あたたかな光で、
そして、冷たい雨でさえも、
少しずつ溶けてゆきます。
溶けた氷の水を
大切に両手で
すくってあげられる人がいたら・・・
そんなことを思った日でした。