静かな日
登山家の栗城史多さんが
亡くなりました。
8年程前、
私は栗城さんの本を買って
読んでいました。
本の中では
「『僕は今、生きている』
僕はあきらめて下山するときに味わう、
登山の意味を失う気持ち、
無くした希望、
心の灯が消えて感じるような、
自分の終わりを見つめるとき、
それでも生きて帰ることは、
登ることよりも大切なことだと思う」
と記しています。
この本が出版されたあと
栗城さんが指9本を凍傷で失いながらも
エベレスト登山へと
挑戦し続けていた事を知っていました。
「成功や失敗ではなく、
この壁を越えてみたい。
何故なら、その壁は自分自身だと
わかっているから。」
17歳の時、
お母さんがガンでなくなり、
その最期は聞こえるか聞こえないかの声で
「ありがとう」と口を動かした
その瞬間から
何のために生きるかを
考え始めたとあります。
「人間というのは限りがある。
そして終わりが近づくとわかっていても、
心を折らずに生きていく人もいる。
最後に『ありがとう』って言って
この世を去れる人間になりたい。」
この本を改めて読んで、
栗城さんは、天国で
お母さんに会えたのかな、
そして下山途中のテントの中で
「ありがとう」と言って
息絶えたのかな、と
おびただしい
いろいろな事を
私なりに考えました。
人には、
彼が言うように
人それぞれの山があります。
その山を目指して歩く中で、
敗北や辛い悲しみや
そして絶望やあきらめることや
いろんなことがあります。
それでも、
この山を登りたいのか・・・。
「あなたにとって山は何ですか」
このことばが
いつまでも私の中に残っています。
栗城さん、ありがとうございます。
そして、心からのご冥福を
お祈り申し上げます。