自分を知る(スタッフ)
集団の話になると、
「リーダーシップ」という言葉がよく使われます。
ついつい私たちは、
すぐにリーダーにリーダーシップを求め、
何でも背負わせようと
してしまっているように思います。
けれど本当は、
大切なのはリーダーシップだけではなくて、
フォロワーシップも同じように大切なのだと思います。
“フォロワーシップ”とは、
聞きなれない方も多いと思いますが、
リーダーについて行く人たちの力です。
フォロワー(部下やメンバー)には、
リーダーの指示に従って成果を上げることだけでなく、
自発的に意見を述べたり
リーダーの間違いを訂正することも
期待されているそうです。
より良い集団として力を発揮するためには、
フォロワー自身の実力だけではなく、
集団の持つ目的を達成しようという気持ちや
リーダーとの信頼関係が必要なのだそう。
とは言っても、
日本の現状では
これを実行するのはなかなか難しいかもしれません。
けれど、少し意識してみるだけで、
自分から見た上司も、
上司から見た自分も、
ちょっと変わるかもしれません。
例えば、リーダーがこれをこうやろう!と言っても
他のメンバーがそれについて行かなければ
集団として力が発揮できません。
最低限、フォロワーはリーダーの考えに沿って行動する、
できれば、意見も出してリーダーの案をより良いものにしたり
自分の納得のいかないことをきちんと話して
煮詰めてから、
あるいは、納得できなくとも、
これは集団として必要なことだから、と
きちんと割り切って実行する。
良い集団はきっとこの構造ができています。
しかし、たいていの集団のメンバーは、
リーダーの指示に形だけ従って
本当は心の底では納得していなかったり、
口にしないだけで不満だらけであったり、
かといってリーダーの批判をするだけで
自分の役割はきちんと果たしていない、
そしてリーダーが孤立している
ということが多いのです。
例えば、飲み会。
幹事が出欠をとります。
返事をきちんとする人はどのくらいの割合でしょうか。
まず、リーダーシップのある幹事であれば、
日時や場所や予算だけでなく、返事の期限や、
みんなが集まりたいと思うような
気の利いたメッセージがあるでしょう。
他のメンバーにフォロワーシップがあれば、
幹事の手間を考えてできるだけ早く返事をするとか、
ちょっと忙しくてもたくさん集まった方が楽しいから
ちょっとくらいなら無理をするとか、
他の仲のよい子たちにも「どうする?」ではなくて
「自分は行くつもりだよ。みんなで行こうよ!」と声をかけるとか、
幹事にお店の案を出すとか、
さまざまなことができます。
気の利いた人は、幹事を労ったりもします。
最低限、期限内に返事をすることがマナーだと思いますが、
それすらやらない人も少なくありません。
リーダーシップもフォロワーシップも、
相手の立場や状況を思いやって
自分ができることは何なのか
自分の役割とは何なのか
を考えることが必要です。
これは会社でもまさにそうだと思います。
部下にどのように仕事を指示し、どう評価し、
どう指摘し、どうモチベーションをあげるか、
部下とどれだけ良い関係を築けるか、
時には、
自分の采配で部下に思い切ったことを
やらせてあげられるか、
それは上司の力です。
決して、怒鳴って言うことを聞かせたり、
ルールで部下を縛ったり、
嫌味を言ったり
理不尽なことを言ったり
責任逃れをするのが
リーダーシップではありません。
上司のやり方にどれだけ応えるか、
できないこと・できること・わからないことを
きちんと上司に伝えて指示を仰ぐことや、
報告・連絡・相談を早めにして
上司が考える余裕のある状態にすることや、
納得のいかないことはきちんと話して、
折り合いのつけどころを見つけることや、
言われたことだけをやるのではなく、
自らアイディアを出して
より良い仕事をしていくことは、
部下の力です。
決して、いかに楽に仕事をしてお金を稼ぐか
相手の批判ばかりして自分のことを棚にあげるか
ではありません。
リーダーシップを発揮するには、
フォロワーがついてこないとできませんし、
フォロワーシップを発揮するには、
フォロワーを信じてくれるリーダーが必要です。
お互いに、お互いのことを信頼して
協力し合うということが
大切なのです。
そしてお互いに人間ですから、
完璧ではありません。
時には間違いをおかします。
それを認め、受け入れ、許し合えることも
大切なのだと思います。
多くの方はフォロワーなのだと思いますので、
ぜひ、リーダーシップばかりを重視するのではなく、
“フォロワーシップ”を意識して
自分ができることは何なのだろうか、と
ちょっとだけ考えてみると
いいのではないでしょうか。
文:スタッフsachi
代表:椎名 あつ子