山
81歳になる母が
ミズヒキを素敵に活けてくれていました。
ミズヒキ(水引)という名前すら
私は知らなかったのですが、
8月~10月に咲く
タデ科の花らしく、
林の中や林の緑などに生息する
多年草ということでした。
母は、犬の散歩をしながら
見つけて
活けたようでした。
「このお花は
お祝いの意味があるのよ。
いい事がありますように。」
と話してくれました。
81歳のわりには
おしゃれで、かわいらしい
母ですが、
やはり最近は
突然、体調を崩したり、
寝込むことも
増えたりしています。
それでも、
そんな年齢になっても、
散歩しながら
草木に目を向けて
立ち止まって・・・
そして家に帰って
私たちの幸せを祈りながら
活けてくれたのだと思い、
胸がじーんと
あたたかくなりました。
そして歳をとっても、
自然に目をそっと向けられる母を
誇りにさえ思えた日でもありました。
ミズヒキ(水引)の花を
私はこれからずっと
覚えていることでしょう。
そして年老いていく母を、
そのまんま、
これからも見守っていきたいと
思った秋の夕暮れでした。
やさしい時間が、
静かに流れていました。