「病院ソーシャルワーカーさんに聞いてほしい現場の声」
親の介護が始まったとき、多くの方が最初に思うことがあります。
「家族なんだから、私がやらなきゃ」
特に、これまで家族の中でしっかり者だった方や、長女として家族を支えてきた方ほど、その思いは強いかもしれません。
自分がやるのが当然。
人に頼るのは申し訳ない。
施設にお願いするなんて、親がかわいそう。
そんな気持ちを抱えながら、仕事や家庭、自分自身の生活まで後回しにしている方を、私はこれまで
たくさん見てきました。
でも、本当にそれだけが「親を大切にする」ということなのでしょうか?
介護を抱えることと、愛情は同じではありません
介護を自分で行うことは、もちろん愛情の一つです。
けれど、介護をプロに任せることもまた、家族を大切にする選択です。
たとえば、自宅での介護が続き、家族が疲れ切ってしまった場合。
親子で顔を合わせれば、
「またこんなことして」
「何度言ったら分かるの」
そんな言葉が増えてしまうことがあります。
本当は大切な親なのに。
本当は優しくしたいのに。
介護そのものに疲れてしまうと、親を見る目が「大切な家族」ではなく、「介護をしなければならない相手」へと変わってしまうことがあります。
それは、誰かが悪いわけではありません。
介護は、それほど大きな負担になることがあるということです。
少し離れることで、家族に戻れることもある
老人ホームへ入居したご家族から、こんなお話を聞くことがあります。
「以前より、母に優しくできるようになりました」
「久しぶりに、母と笑って話せました」
「介護する人とされる人ではなく、親子に戻れた気がします」
施設へ入居することは、家族を手放すことではありません。
むしろ、介護を専門職に任せることで、家族が本来の関係を取り戻せることもあります。
だから私は、老人ホームを探すときに、設備や料金だけではなく、
「このご家族が、どんな関係でこれからを過ごしたいのか」
ということをとても大切にしています。
家族だからこそ、全部を背負わなくていい
私たちが変えていきたいのは、
「家族なんだから介護するのが当たり前」
という考え方です。
家族だからこそ大切にしたい。
でも、家族だからこそ近すぎて難しいこともあります。
介護を誰かに任せる。
専門家に相談する。
施設という選択肢を考える。
それは、逃げでも、親不孝でもありません。
家族がこれからも家族でいるための、一つの選択です。
家族を大切にすることと、自分を犠牲にすることは違います。
親も大切。
そして、自分の人生も大切。
その両方を大切にできる介護を、一緒に考えていけたらと思っています。
介護・老人ホーム選びでは、施設の種類や費用だけではなく、ご本人の状態やご家族の状況によって、選ぶべき選択肢は変わります。
「自宅で続けるべきか、施設を考えるべきか分からない」
「施設に入れることに罪悪感がある」
そんな段階からでも大丈夫です。
まずは、今の状況とお気持ちを整理するところからご相談ください。


